講演者の声

5/12開催 通信制高校・サポート校 合同個別相談会にて講演頂いた伊藤先生にお話を伺いました。

不登校の理解とその支援

不登校の子どもに関わる大人ができること 伊藤隆氏 (上宮高等学校教諭・臨床心理士)
  • はじめに

    不登校の子を持つご両親は、やりきれない思いや苦しい思いを持ち、それを誰にも言えずに思い悩み、焦り、考え続けることが多いようです。しかしお子さまとの関わり方、不登校に対する捉え方を変えることで、「学校へ行けない」お子さまの援助をすることができます。

  • 無理やり学校へ行かすのは逆効果。まずは理解してあげる

    学校へ行かないことを叱ったり、責めたりすることで子どもは不安を感じ、自尊心を失っていきます。
    大切なのはお子さまの現状を受け入れ、気持ちを理解してあげること。不登校になる理由は様々ですが、子どもの言動に積極的に関わり,理解しようとすることで子どもは親と、そして自分自身と向き合うようになります。そのためにも常日頃からたわいもない会話をしたり、子どもの関心事に興味を持つ、また子どもの関心ごとに主体的に関わることなどで、親子の間に「言える―聞ける」関係を築くことができます。

  • 家庭での安心が支えとなる

    親子間で「言える―聞ける」関係を構築することは、自分が認められていることであり、それは心のエネルギー(壁に立ち向う力=頑張ろうとする力)になります。
    家庭での居場所感を得ることで、家庭そのものが外界に踏み出すための『安全基地』『探索基地』となり、そこを拠点に外の世界においても自分の「居場所」を見出していきます。
    そのためには「自分は理解してもらえている」 「気持ちをわかってもらえた」という安心感を形成する必要があります。まずは下記のようなお子さまへの言葉がけを実践してみてはいかがでしょうか。

    【子どもが所属感、貢献感、居場所感を得るための言葉がけ】

    • ◆貢献や協力に注目する→ 「あなたのお陰でとても助かった。」
    • ◆過程を重視する→ 「 できなかったけど、一生懸命やったね。」
    • ◆すでに達成している成果を認める→ 「 この部分はとてもいいと思うよ。」
    • ◆失敗をも受け入れる→ 「 残念そうだね。この次はどうすればいいと思う?」
    • ◆個人の成長を重視する→ 「この前よりずいぶん上手になったね。」
    • ◆相手の判断をゆだねる→ 「 あなたはどう思う?」
    • ◆肯定的な表現を使う(リフレーミング)→ 「気が小さいのではなくて慎重なんだね。」
    • ◆「私メッセージ」を使う→ 「 頑張っている姿を見れて、私は嬉しい。」
    • ◆「感謝し共感する」→ 「 協力してくれてありがとう。助かったよ。」
    • ◆行為と人格を区別する→ 「整理できない部分は、直した方がいいと思うよ。」
  • 一人で抱え込まないで!

    「子どもの将来に関する不安」の解消には「登校」が目標であると思い込み易いのですが、まずは社会と向き合える土台を作ることが大切です。
    上記のような心構えを持った上でカウンセリングを受けたり、同じ悩みを持つ親の会に参加して情報を共有し、アドバイスを受けることも一つの手段です。

伊藤隆氏 プロフィール

現職 上宮高等学校 教諭,関西学院大学大学院非常勤講師、大阪樟蔭女子大学非常勤講師
所属学会 日本心理臨床学会,日本教育心理学会
資格 公認心理師,臨床心理士,学校心理士スーパーバイザー
研究テーマ 不登校の子どもをもつ母親の心理的成長過程,登校忌避感情と居場所
取り組み 学内では「保護者・教職員のための勉強会」「親の集い」「ホップの会」心理面接、学外では「不登校を考える会」
著書 ・シリーズ 荒れる青少年の心 ひきこもる青少年の心(2003)北大路書房
・ストレスに負けないこころを育てる学校の取り組み(2005)教育開発研究所
・よくわかる教育相談(2011) ミネルヴァ書房
ほか