私立通信制高校の特長

公開日: 2022年3月24日 更新日: 2022年3月24日

 

全日制高校に私立と公立の2種類の学校があるように、通信制高校にも私立と公立の学校があります。
私立と公立の違いで思い浮かぶのが「授業料が違うこと
」かもしれませんが、当然それ以外にも違いはあります。

この記事では、通信制高校の私立と公立の学習サポート体制や費用などについて、ご説明いたします。通信制高校選びに迷われている方や私立と公立の違いについて知りたいとお考えの方は、こちらの記事を参考にしてい頂ければ幸いです。

通信制高校にも私立と公立がある

私立と公立では、何が同じで何が違うのでしょうか。

“必修科目や取得単位数は同じ”

通信制高校を卒業するには、「74単位以上取得」「在籍期間3年以上」「特別活動30単位時間」この3つを満たさなければいけません。
特別活動とは、ホームルーム・入学式、卒業式などの式典・体育祭や体験学習などを指し「単位時間」とは1単位50分と高等学校学習指導要領で定められています。74単位を取得するための必修科目は以下のものになります。

国語・地理歴史・公民・数学・理科・保健体育・芸術・外国語・家庭・情報

これら、必修科目や取得単位数は私立・公立どちらでも同じです。学ぶ教科・科目は変わりませんが単位を取得する過程、サポート体制などで公立と私立で違いが出てきます。こちらについては後ほど、ご説明いたします。

“生徒数は公立に比べ私立の方が多い”

私立と公立では、生徒数に大きな違いがあります。文部科学省が行った令和2年度の調査によると、令和元年の私立通信制高校の入学者は66,711人。
対して、公立通信制高校の入学者は14,079人と私立に入学した生徒数は公立の5倍近くにも上ります。
入学者数で、これほどの差があるのは私立のほとんどが広域制。公立の多くが狭域制高校であることが考えられます。

通信制高校は「通信制」なので、全国どこからでも入学可能と思われるかもしれませんが広域制は入学できる地域が3都道府県以上。全国どこに住居やお勤め先があっても入試に受かれば入学可能です。
対して、狭域制は学校がある県と隣接する都道府県に住居やお勤め先がある方のみ応募資格があるため、この違いが生徒数に表れていると考えられます。

https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/20210225-mxt_koukou02-000013024_4.pdf

私立通信制高校の特徴

私立の通信制高校の特徴には、どのようなものがあるでしょうか。主な特徴を4つご説明します。

“全国どこからでも通える”

私立と公立との違いとして大きな特徴・違いとして言えるのが、私立の通信制高校の多くが広域制という点です。
先ほどもご説明しましたが、広域制通信高校とは住居やお勤め先がどこであっても制約を受けずに入学できる通信制高校のことを指します。
狭域制を採用している私立校もありますが、ほとんどが広域制を採用しています。
生活圏から離れたところにある学校だとスクーリング(通学)が大変では?と、思われるでしょうが、その点も私立は異なります。
私立では学校の所在地まで行かなくても、スクーリングが行える施設がある学校があり、そのような学校に入学すればスクーリングの負担を軽減することが可能です。

“サポートが充実している”

次の特徴が学習サポートです。公立の場合、中学校卒業と同程度の学力が求められますが、通信制高校に通う生徒の中には不登校など様々な理由から学力に自信がない生徒がいます。
私立の場合、学力に自信がない生徒に小中学校の勉強を復習できるようカリキュラムを用意することで学力を底上げし、卒業に必要な学力を身に付けることができるような体制を取っている学校もあります。
そのほかにはオンライン授業や学校から離れた場所が生活圏の生徒でも学習サポートが受けられるようサテライト施設と言う学習スペースや入学に別途費用が発生しますが、提携しているサポート校で勉強を見てもらうこともできます。公立でもある程度の学習サポートは行ってくれますが、私立と比べると充実度が低いのが実情です。

“スクーリングなどの自由度が高い”

通信制高校ではスクーリング(通学)が必要です。公立では週1ペースで年間50日ほど。日曜日に行われることが多く、単位認定試験の日程なども決められているため、学校側のスケジュールに従う必要があります。
対して、私立の多くは生徒が自分のスケジュールに合わせることができるように日程が複数用意されています。
スクーリングは3種類あり、週に何日か通学する通学型、夏冬や大型連休期間にまとめて受ける集中型、宿泊施設で授業を受ける合宿型があります。どの形態にするかは自分で決めることができます。
私立校全てが、この3種類すべてに対応しているわけではありませんが、こちらも公立と比べると圧倒的に自由度が高くなっています。

“卒業率が高い”

卒業率とは、その年度に在籍している生徒の総数に対し、どのくらいの割合の生徒が卒業したか算出したものです。
通信制高校は最短3年で卒業可能なので割合が33%あれば、3年生は全員卒業したと考えることができます。文部科学省が平成30年度に調査した結果を基に卒業率を算出しました。

  在籍生徒数 卒業者数 卒業率
私立 129,217人 48,301人 37.4%
公立 57,285人 7,982人 13.9%

 

卒業率がご説明した33%を超えていますが、これは3年以上在籍して卒業される方もいるためです。
このように私立は公立の卒業率の3倍近くにもなっています。
同調査では退学者数も公表されており私立は7,526人で退学率5.8%です。

公立は4,669人で退学率8.2%と、退学者は公立の方が多く私立は公立と比べ、卒業しやすく中退しにくいことがこの調査から証明されています。

https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/20200114-mxt_koukou02-000004042_4.pdf

私立通信制高校への入学前に検討しておきたいこと

最後に私立の通信制高校へ入学する前に検討しておきたいことについて、ご説明します。

“公立に比べると学費は高い”

記事の最初にも触れましたが、学費は公立の方が安く抑えることができます。
公立校は自治体によって異なりますが、東京と大阪を例にすると入学料はどちらも500円です。
授業料は東京が1単位336円、大阪が330円です。初年度25単位履修すると東京で8,400円となり、大阪で8,250円となります。
このほかに教材費やレポートの郵送費を入れても初年度で3万円ほどです。ですので3年間でも10万円以内で済む計算になります。

対して、私立は入学金が平均5万円となります。0円の学校も10万円を越す学校もあります。
授業料が1単位5,000~12,000円前後で初年度の授業料は安くても125,000円ほどにはなります。
このほかに教材費や郵送費、その他に施設費用など初年度で30万円前後です。
3年間で100万円以上かかる可能性があり、学費だけで判断すると公立の方が良く感じるかもしれません。

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/high_school/exam/files/pamphlet2022_parttime/05_2022.pdf

https://www.pref.osaka.lg.jp/kyoishisetsu/furitukoukou/

“就学支援金制度の活用がおすすめ”

年間30万円前後の学費負担は家計に負担がかかります。負担軽減のため就学支援金制度を活用してみましょう。
この制度は全国の8割の生徒が利用している制度です。就学支援金制度は奨学金と違い、支給された支援金は返還不要です。
支給条件は、日本国内に住所があり各種高校に在学中の生徒であることと世帯収入が910万円以下であることです。
支援金は国から自治体を通して学校に直接支払われるため、一時的に建て替える必要はありません。
この制度は授業料を支援するものです。つまり単位履修の費用を支援するものであり、入学金などその他の費用は支給対象外なので注意してください。
もう1つの注意点は通信制高校の場合、在学期間48カ月を超えると支給対象外となります。こちらにも注意が必要です。

まとめ

通信制高校の私立と公立の違い、私立に通う際の学費や入学前に検討すべきことについて、解説いたしました。
通信制高校は、生徒が自分のペースで学習できるメリットがありますが、卒業するには自己管理能力が必要不可欠です。
私立の通信制高校は公立よりも卒業率が高いものの絶対に卒業できる訳ではありません。

公立より学費がかかる点やサポート校の利用についても検討してみましょう。
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