高等専修学校の仕組み

COLLEGE OF TECHOLOGY
高等専修学校の仕組みを知ろう!
知っておきたい高等専修学校の仕組み
「好き」や「得意」を生かして 知識と技術を身につけ、社会的自立へ
高等専修学校(専修学校高等課程)は、高等学校と並ぶ正規の後期中等教育機関であり、 技術や実務面の教育に重点をおく職業教育機関です。 生徒は毎日登校して、自分の「好き」や適性に合った分野を中心に学びます。 卒業後は、就職や進学など、社会的自立への道がひらけます。
  • 社会的自立に直結する実践的教育、高校卒業資格や大学受験資格の取得が可能

    「専修学校」(※1)のうち、中学校卒業者を対象とした高等課程を設置する学校が、高等専修学校(専修学校高等課程)です。 不登校や、資格などの取得、夢の実現など、生徒の多様なニーズに応え、柔軟な職業教育と人間教育を通して、成長を支援し、社会に送り出しています。現在、全国に450校あり、約3万4000人が学んでいます。

    修業年限は1年以上で、学科やコースにより異なります。3年制の課程を卒業すると、専門学校(専修学校専門課程)の受験資格が得られ、大学入学資格付与指定校で3年以上、普通科目を420時間以上(総授業時間数は2590時間以上)学ぶと、大学の受験資格が得られます。

    多くの高等専修学校は、「技能連携校」(※2)として、通信制・定時制の高等学校と提携しています。高等専修学校で修得した単位を高等学校での単位とみなす「技能連携制度」を利用すれば、高等専修学校と高等学校の2つの卒業資格が取得できます。

    入学には、願書や必要書類を提出し、受験(1~3科目の学科試験。作文や面接のみの場合も)。合格すれば、4月から学期が始まり、毎日登校します。学校行事やクラブ活動が盛んな学校もあります。

  • 8分野に分かれて専門科目を中心に学ぶ 得意を伸ばすことで自信を回復し、学校へ戻るきっかけに

    高等専修学校は、工業、農業、医療、衛生、教育・社会福祉、商業実務、服飾・家政、文化・教養の8つに分類されています。専門科目を通して職業に直結する専門的な知識を中心に学びながら、普通科目で社会に出るために必要な基礎知識を学びます。学校ごとに、企業や病院など外部組織・機関と連携した実習・演習や、国家資格取得への挑戦など、特色あるカリキュラムが組まれ、実践的な知識や技術が習得できます。卒業生の多くは、学んだ専門知識・技術を生かせる分野への就職をかなえ、近年は、専門学校や大学への進学も増えています。

    高等専修学校は、小・中学校で不登校を経験した生徒のセーフティネットとしても注目されています。全国高等専修学校協会の2021年度「高等専修学校の実態に関するアンケート調査」(※3)では、入学時不登校の2893人のうち約62.3%が不登校の改善、または改善傾向にあるとの結果が。 カウンセラー資格や経験をもつ教員のサポートや、インクルーシブ教育の一環として取り組む少人数クラスの編成や個別指導の充実などが、その一助となっているよう。自分の好きなこと、関心のあることを学び、成果を出すことで、自信を回復し、学校生活に復帰するケースも見られます

    ※1 修業年限が1年以上、授業時数が文部科学大臣の定める授業時数以上である、教育を受ける者が常時40人以上であることを満たした学校のこと。高等課程のほかに、高卒者対象の専門課程と学歴不問の一般課程がある。 ※2 学校教育法に基づいて、都道府県教育委員会が指定する技能教育施設のこと。通信制高校や定時制高校の生徒が、技能連携校で技能や実務に関する専門科目を学んだ場合、高校の履修の一部として単位が認められる。 ※3 全国高等専修学校協会会員校のうち85校からの回答を基にしたデータ(期間2021年12月8日~2022年1月11日)。

「商業実務関係」で情報を学ぶ生徒が増加。文化・教養が倍増

文部科学省の「学校基本調査」によれば、2022年度の生徒数は前年から443人減少しました。分野別生徒数では、「商業実務関係」が、昨年度最多の「医療関係」を上回りました。「商業実務関係」では情報を専門に学ぶ生徒が増加しています。「文化・教養関係」の生徒数は、昨年より10%以上増加。直近の2年間では倍増しています。

一般的な高等専修学校の学科のシステム

「大阪YMCA国際専門学校 高等課程 表現・コミュニケーション学科」は、教員と生徒、そして保護者との連携、生徒同士の温かで深いコミュニケーションが特徴です。校風と独自のカリキュラムが、生徒の自主性や自信を育んでいます。学科長の公原恵理子さんに聞きました。
  • どのような生徒が入学していますか? 「毎日登校したい」「学び直したい」「友だちがほしい」と、不登校や苦手な経験をした生徒が多く入学しています。オープンスクールなどで、教員の話し方、対応の仕方、学校の独特のカリキュラム、在校生の話などを実際に体験して、「ここに通いたい」と選ぶケースが多いようです。
  • 授業の特徴は? 習熟度クラスにより少人数で、自分の学力に合った授業を受けることができます。始業は午前10時なので、遠方から通う生徒や朝が苦手な生徒も通いやすくなっています。ソーシャルスキルトレーニング、演劇などの授業を導入し、コミュニケーションを学ぶための独自のカリキュラムを組んでいます。
  • 学校生活のサポート体制 1クラス45人に担任は3人。担任だけではなく、教員が全生徒を把握し、良き相談相手になっています。カウンセラーも常駐しています。学校では、どんな発言も失敗も、否定されたり、笑われたりしません。自由に発言できる雰囲気が、生徒の自信を育みます。
  • 卒業後の進路は? 在学中に生徒は自信をつけ、将来の目標を見つけるまでに成長します。卒業後は約80%の生徒が専門学校、短大、大学へ進学し、約10%が就職や就職のためのトレーニングを受ける学校へ。どのような進路を希望しても丁寧にサポートしています。進路の幅が広いことも「将来の可能性が開ける」と保護者に支持されています。
  • 入学試験の内容・時期は? 授業見学と個別面談に参加したうえで、面接と作文と適性検査の入学試験を受けます。学力考査はなく、作文のテーマも事前にお知らせするため、準備ができ、安心して受験することができます。12月の1次試験から3月の4次試験まで入試は4回実施しています。
  • 学校選びで大切なことは? 生徒が自分で見て、自分ごととして選ぶことが大切。そして、その学校に「行けるかどうか」より、「行きたいかどうか」が大事です。決めるのは保護者ではなく生徒本人。複数の学校を見て、比べて、自分で選んでください。その選択を応援します。