「専修学校」(※1)のうち、中学校卒業者を対象とした高等課程を設置する学校が、高等専修学校(専修学校高等課程)です。 不登校や、資格などの取得、夢の実現など、生徒の多様なニーズに応え、柔軟な職業教育と人間教育を通して、成長を支援し、社会に送り出しています。現在、全国に404校あり、約3万4000人が学んでいます。
修業年限は1年以上で、学科やコースにより異なります。3年制の課程を卒業すると、専門学校(専修学校専門課程)の受験資格が得られ、大学入学資格付与指定校で3年以上、普通科目を420時間以上(総授業時間数は2590時間以上)学ぶと、大学の受験資格が得られます。
多くの高等専修学校は、「技能連携校」(※2)として、通信制・定時制の高等学校と提携しています。高等専修学校で修得した単位を高等学校での単位とみなす「技能連携制度」を利用すれば、高等専修学校と高等学校の2つの卒業資格が取得できます。
入学には、願書や必要書類を提出し、受験(1~3科目の学科試験。作文や面接のみの場合も)。合格すれば、4月から学期が始まり、毎日登校します。学校行事やクラブ活動が盛んな学校もあります。
高等専修学校は、工業、農業、医療、衛生、教育・社会福祉、商業実務、服飾・家政、文化・教養の8つに分類されています。専門科目を通して職業に直結する専門的な知識を中心に学びながら、普通科目で社会に出るために必要な基礎知識を学びます。学校ごとに、企業や病院など外部組織・機関と連携した実習・演習や、国家資格取得への挑戦など、特色あるカリキュラムが組まれ、実践的な知識や技術が習得できます。卒業生の多くは、学んだ専門知識・技術を生かせる分野への就職をかなえ、近年は、専門学校や大学への進学も増えています。
高等専修学校は、小・中学校で不登校を経験した生徒のセーフティネットとしても注目されています。全国高等専修学校協会の2020年度「高等専修学校の実態に関するアンケート調査」(※3)では、入学時不登校の3564人のうち約81.5%が不登校の改善、または改善傾向にあるとの結果が。 カウンセラー資格や経験をもつ教員のサポートや、インクルーシブ教育の一環として取り組む少人数クラスの編成や個別指導の充実などが、その一助となっているよう。自分の好きなこと、関心のあることを学び、成果を出すことで、自信を回復し、学校生活に復帰するケースも見られます
※1 修業年限が1年以上、授業時数が文部科学大臣の定める授業時数以上である、教育を受ける者が常時40人以上であることを満たした学校のこと。高等課程のほかに、高卒者対象の専門課程と学歴不問の一般課程がある。 ※2 学校教育法に基づいて、都道府県教育委員会が指定する技能教育施設のこと。通信制高校や定時制高校の生徒が、技能連携校で技能や実務に関する専門科目を学んだ場合、高校の履修の一部として単位が認められる。 ※3 全国高等専修学校協会会員校のうち111校からの回答を基にしたデータ(期間2020年10月19日~11月17日)。
文部科学省の「学校基本調査」によれば、2020年度の分野別の生徒数では、経理・観光等を学ぶ「商業実務関係」や 「文化・教養関係」が増加。また、数は少ないものの、農業関係が昨年度比20倍に。全国高等専修学校協会の調査では、 2020年度の卒業生のうち、進学者の合計が約45.6%、就職が約41.8%と、進学者数と就職者数はほぼ同じ結果に。