通信制高校は、学校教育法の一条校(※)であり、必要単位数を修得して卒業すれば、全日制高校と同じく、高校卒業資格を得ることができます。 全日制高校の多くが、学年ごとに決まった単位を修得して進級する「学年制」を採用しているのに対して、大半の通信制高校では「単位制」を採用。
学年制では、出席日数が足りない場合や科目が合格点に達しない場合などは、原級留意(留年)となりますが、単位制では、出席日数は関係なく、学年を基本としないので、留年はありません。「単位制」では、授業科目を「単位」と呼ばれる学習時間数に区分し、3年以上在籍して、添削指導(レポート)と面接指導(スクーリング)、単位認定試験で74単位以上(特別活動30単位時間以上の参加を含む)を修得すれば卒業できます。
面接指導の一部を、NHK高校講座やインターネット講義の視聴などで代えられる学校も。毎日登校する必要はありませんが、学校行事やホームルームなどの特別活動への参加は30単位時間以上求められます。ほかの高校に在籍中で転入学する場合や、退学して編入学する場合は、それまでに修得した単位を引き継ぐことができます。
通信制高校は、全日制の高校と同様に、文部科学省の学習指導要領に基づいた教育の範囲で授業が構成されていますが、カリキュラムは学校によって異なります。ICT技術の活用やインターンシップ、ボランティア活動などの体験学習・課外活動の充実などに注力する学校もあります。 スクーリングも、毎日登校する、週に何日か登校する、年間で何日か集中的に登校するなどさまざまで、学力や体力に合わせてマイペースで学ぶことができます。
近年では不登校や中途退学者の学び直しの場としてだけでなく、多様な教育へのニーズに柔軟に対応できる学校として、生徒や保護者から選ばれる存在に。スポーツや芸能活動などを優先したい人、ダンスやプログラミングなど自分の得意分野を伸ばしたい人、超難関大学への進学をめざす人なども通信制高校を選択しています。こうした背景もあり、2024年度、通信制で学ぶ生徒は、前年より2万5000人以上増えて、約29万人に達しました。 校外学習、修学旅行、体育祭、文化祭などの学校行事や、クラブ活動を行う学校もあり、仲間と交流して、キャンパスライフを楽しむことができます。多くの学校は、スクールカウンセラーによるメンタルサポートなどの体制も整備されています。
※1947年に施行された学校教育法の第一条に掲げられている教育施設のこと。幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学(短期大学、大学院含む)、高等専門学校がこれにあたる。