通信制高校におけるカウンセリングについて

公開日: 2022年9月2日 更新日: 2022年9月2日

 

通信制高校には全日制高校にはない専門分野を学ぶために入学した生徒や高校卒業資格を取得したい社会人の生徒、小中学校や以前、在籍していた高校で不登校を経験した人も生徒として在籍しています。不登校経験がある生徒は心のケアを行う必要があるため、通信制高校ではスクールカウンセラーによるカウンセリングなど心理面のサポートに力を入れています。

今回は、通信制高校のサポート体制、カウンセリングについてご紹介いたします。 

教育現場におけるスクールカウンセラーの役割とは

通信制高校をはじめとした教育現場でのスクールカウンセラーの役割について確認しましょう。

”スクールカウンセラーはどんな仕事をするのか”

スクールカウンセラーは学校に通う生徒の心のケアを行うのが主な仕事です。以前は生徒が悩みを抱えていると教師や親などの身近な大人が相談や解決の手助けをしていましたが近年はいじめなどで心に傷を負った生徒が不登校になる事例が増えたことで、生徒の心のケアを専門に行う専門家としてスクールカウンセラーを配置することが増えてきました。

教師や親に相談しづらい・できないことをスクールカウンセラーに話すことで問題を解決に導けるよう通信制高校に限らず、全日制高校でも配置されることがあります。スクールカウンセラーは生徒の心のケアがメインですが、保護者や教職員の相談も業務に含まれており、学校に関わるすべての人の心のケアに従事しています。 

”通信制高校では特に重要な役割を果たしている”

ある調査によると、通信制高校の生徒の6割が不登校の経験があると言われています。
不登校の原因は、友達やクラスメイトとの関係や教師との関係、家庭環境など様々です。友達や教師が原因で不登校になった場合、高校に進学して人間関係がリセットされることで解決になることもありますが、人に対する不信感が残る場合や家庭環境が原因だとリセットすることができません。


このような悩みや問題を抱え込まず、解決へと導けるようにスクールカウンセラーが相談に乗ります。
このような相談以外に進路の悩みや学力に自信がない生徒が勉強についていけるかという不安など、様々な相談にスクールカウンセラーは対応しています。

信制高校でのカウンセリングの重要性”

不登校などの悩みや問題を抱えたままでは学業に集中することはできません。通信制高校は通学回数が少ないので人間関係のトラブルが起こりにくい反面、友達や相談相手ができにくく、孤独を感じやすくなる場合があります。相談できる相手が誰もいない状態では、悩みが解決に向かうことが難しく心身のバランスを崩す恐れや、また不登校に戻ってしまう可能性もあります。

そのような状態にならないためにも今の悩みや過去の出来事によって受けた心の傷をそのままにせずに向き合い、克服した上で高校を卒業するためにもスクールカウンセラーは通信制高校など教育現場では欠かすことができない重要な存在と言えます。

通信制高校に配置されているカウンセラーの種類

カウンセラーと一言で言っても、いくつかの種類があります。
通信制高校に配されるカウンセラーの種類と役割について確認しましょう。

“スクールカウンセラー(SC)”

スクールカウンセラーは不登校・発達障害・問題行動などがある生徒本人だけでなく、その保護者や教職員の相談も受けることを仕事としています。学校の相談室などで相談に乗ったり、学校に来るのが難しい生徒には定期的に家庭訪問を行い、生徒の自宅で話を聞き、日々の勉強や通学、学校行事に参加できるように応援を行うこともあります。

生徒の保護者には状況が改善できるよう子育てや教育方針についてアドバイスを行いますスクールカウンセラーには資格要件があり、臨床心理士や精神科医、大学の教員がスクールカウンセラーとして業務に従事します。また、スクールカウンセラーの多くは非常勤で、常勤として学校に在籍することはほとんどありません。

スクールアドバイザー(SA)”

スクールアドバイザーはスクールカウンセラーと同じく、生徒の心のケアを行う専門家のことです。
スクールカウンセラー事業が文部科学省中心で行っているのに対して、スクールアドバイザーは各地方自治体・教育委員会が中心になって事業を行っています。

スクールアドバイザーは地方自治体や教育委員会が中心になって行っている事業のため、自治体によっては事業が行われていないことがあります。事業を展開している自治体でも予算規模が小ささから、活動期間が限定される場合があり、活動期間や勤務形態の違いからスクールカウンセラーとは職務内容が若干、異なります。資格要件はスクールカウンセラーに準拠しており、同等の心理職専門家が従事します。

スクールソーシャルワーカー(SSW)”

スクールソーシャルワーカーは2008年から文部科学省が開始した事業で、社会的弱者や福祉相談業務に従事する福祉職専門家のことで、学校などの教育機関が業務の対象になります。スクールカウンセラー・スクールアドバイザーが生徒・保護者・教職員など個人を対象として相談・問題解決に対応するのに対して、スクールソーシャルワーカーはこれらの個人が関わる環境で発生した問題に対応します。

スクールソーシャルワーカーは学校などの教育機関と児童相談所などの行政機関との連携環境を構築することを目的にしており、経済状況などの理由で社会保障や生活保護が必要と判断される生徒の家庭に自立支援相談を行うことが職務内容となります。

現在のカウンセラーの全国的な配置状況とその例 

スクールカウンセラーの全国的な配置状況と飛鳥未来高等学校、クラーク記念国際高等学校の例をご紹介いたします。

“全国的なスクールカウンセラーの配置率”

文部科学省が令和2年度に行った学校保健統計調査によるスクールカウンセラーの配置率をご紹介します。
小中高等学校のスクールカウンセラーの配置状況を全国平均と主要な都道府県を抜粋しました。

単位(%)

区分 小学校 中学校 高等学校
定期配置 不定期

配 置

定期配置 不定期

配 置

定期配置 不定期

配 置

週4時間以上 週4時間以内 週4時間以上 週4時間以内 週4時間以上 週4時間以内
全国 22.5 34.4 32.3 10.8 66.9 17.3 12.2 3.6 42.1 30.9 20.7 6.3
北海道 3.0 21.3 44.7 30.9 27.0 18.7 32.4 21.9 11.4 60.2 20.8 7.6
東京 95.8 3.4 0.8 91.2 8.8 84.3 8.3 7.4
愛知 27.4 39.5 33.1 96.4 2.1 1.5 34.6 23.1 42.4
大阪 41.5 27.8 30.7 90.4 9.6 36.5 54.5 8.9
福岡 9.5 45.7 43.0 1.8 81.9 10.9 7.2 34.0 46.6 11.3 8.2

 

都道府県ごとに配置状況にばらつきがあり、小中高いずれも東京が全国平均を大きく上回っているのが確認できます。

“飛鳥未来高等学校の例”

飛鳥未来高等学校の教員は全員、青少年健全育成のスペシャリストとして、グループ校である東京未来大学が発行する「不登校対応カウンセリング基礎」「非行対応カウンセリング基礎」という資格を取得する他に最新の各種研修を受けており、生徒が楽しく安心して高校生活を送れるようメンタルサポート体制が整えられています。

教員への相談内容は勉強に関することはもちろん、勉強以外の生活面や友達との人間関係についても相談が可能です。より心のケアが必要な生徒に対しては、スクールカウンセラーとともにサポートが可能です。保護者にはオンライン上でお子さんの学習状況が確認できるシステムがあり、学習面と心理面どちらのサポート体制も充実しています。

“クラーク記念国際高校の例”

全国にキャンパスを持つクラーク記念国際高等学校では、主要キャンパスの教員約330名が「学習心理支援カウンセラー」という資格を取得しています。学習心理支援カウンセラーとは、内閣府認定の公益法人こども教育支援財団が認定を行っている資格で、心理学やカウンセリングの知識や技法、日常における学習活動など教育現場で活用できる様々な能力の育成を目指したもので、クラーク記念国際高等学校では1年目の教員が資格取得と能力を身に付けるために年間70時間の研修を実施しています。

この他に生徒にとって身近な大人である担任との間に強い信頼関係を築いて学業に専念できるよう生徒が担任を選べる「パーソナルティーチャー制度」を設けています。

 まとめ

通信制高校は全日制高校と比べると学業面・心理面のサポートが受けやすいものの、どんなサポートが得られるかは学校によって異なります。入学を検討している・気になっている学校があれば資料請求をしてスクールカウンセラーの配置状況やサポート体制について調べてみましょう。資料を確認しても、分からないことがあれば学校に直接、聞いてみるのが一番です。

通信制高校へ行こうでは、合同個別相談会を定期的に開催しております。複数の学校が参加しているため、スクールカウンセラーの配置とサポート体制や学習面のサポート体制、その他に気になることも学校側に直接、確認できるので学校選びの参考になります。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。