私立通信制高校の学費はどれくらい?
費用の内訳や無償化制度を紹介

公開日: 2021年10月14日 更新日: 2021年10月14日

私立通信制高校の学費は、年間で約15〜30万円程度

私立通信制高校の学費(図表つき)

通信制高校にも公立と私立があり、私立の高校はやはり公立に比べて学費は高い傾向にあります。初年度に必要な学費合計は公立高校の場合4万円~6万円程度で、私立の場合は、通学の回数、学校の特殊性や専門性などによって大きく異なりますが、安いところでは10万円台から高いと100万円を超えるところもあります。ただし、後で説明しますが、国や地方自治体の補助金もあるので、制度をうまく活用すれば学費の負担を軽くすることもできます。それぞれの学費や特徴等の詳細は、進学を検討している高校のパンフレットなどをチェックすると良いでしょう。

私立
入学金0円~90,000円程度
年間授業料
※単位当たり授業料
130,000円~850,000円程度
※8,000円~10,000円程度
教科書代、施設費等年間30,000円~100,000円程度
学費合計約160,000円~1,000,000円超

 

私立高校によっては、100%の卒業率を謳っているところもあります。また、大学や専門学校への進学率をアピールする学校もありますし、より専門的な分野を高校で学べるところもあります。それぞれの学校によって特徴や魅力があり、それによって学費に大きな差があります。

また、通信制高校に入学後、スクーリングがある場合は、自宅から学校までの通学距離や時間あるいは交通費なども考慮に入れておくと良いでしょう。通学回数によって授業料を設定している高校もあります。あまりにも遠方に学校があると、通学に時間を取られ過ぎたり、通学費用がかさんでしまう場合もあるので、直接的な費用の他にも間接的に必要な費用をあらかじめ把握しておくことも大切です。

費用は高くても私立の人気が高い

通信制高校は費用だけで比較すると、圧倒的に公立高校の方が安いということをさきほど説明しました。しかし、文部科学省の「高等学校教育の現状について」という報告書によると、約7割が私立高校を選択しているようです。以下ではその理由についてまとめてみました。

私立校はスクーリング(対面授業)や課題提出の融通が利く

私立の通信制高校は、スクーリングに特徴を出して他の私立高校や公立高校との差別化を図っているところもあります。全日制と同じ週5日のスクーリングを実施している高校や、スクーリング日数を選べる高校もあります。また、遠隔地や観光地などに行って、課外のスクーリングを楽しむことができる高校もあります。

それ以外に課題を提出する方法にもそれぞれに特徴があります。公立高校の場合は、基本的に課題の提出は直接学校に持って行くことが求められますが、私立高校はオンライン提出や郵送などを認めているところが多いのも特徴です。課題提出にこれだけ融通が利くのは、課題を提出する手段ではなく、課題を提出することそのものに重要性を見出しているからではないでしょうか。このようなところにも通信制私立高校の特徴が大きく表れていて、人気が高まっている理由のひとつとなっています。

学校ごとに特徴があり、費用も変わる

ほとんど学校に行くことなく高校卒業の資格を得ることができるのは、通信制高校に通うメリットのひとつですが、その中でも私立高校の良さが際立っている印象を持つ人が多いのではないでしょうか。

例えば、全日制の高校にも負けないくらいの大学進学率を誇る高校があります。レベルの高い受験対策が自慢で、早稲田や慶応といった一流大学への進学者を出していることが、大きな差別化になっているようです。あるいは、高校の授業で学ぶ内容以外にも、ファッション系や芸能系、スポーツ系やクリエイター系など将来に役立つ専門分野が学べることを特徴としている学校もあります。さらに、高校スポーツで全国大会の出場を誇る高校もあり、文武両道を特徴にあげている高校もあります。

それぞれの特徴に応じた学費が必要になる場合がありますが、明確な目的意識を持っている学生の方には魅力になっているのではないでしょうか。

また、公立の通信制高校に通う生徒の約4割が20歳以上の社会人や主婦となっています。同年代の生徒とのふれあいを多少なりとも求める場合は、公立よりも私立の通信制高校を選ぶ理由にもなっているのかもしれません。

就学支援金といった学費を抑える制度がある

私立であれば、私立高校授業料無償化制度を利用しましょう

この様に様々な魅力のある私立の通信制高校ですが、やはり学費が高いと感じる方もいるのではないでしょうか。その様な場合、私立高校授業料無償化制度を利用すれば、学費の負担を大きく軽減することができます。この制度を利用すれば、保護者の世帯年収が590万円未満の場合、最大で297,000円の支援金を受給することができるようになります。これによって、授業料の負担を実質0円にすることも可能となります。完全に無料にならない場合であっても、これだけの高額な支援金を受け取ることができる制度を利用することができれば、学費の高い私立通信制高校への進学も現実になります。将来を見据えた高校選びの足かせとなっていた学費の問題が、高額支援金によって解決することができれば、それだけ夢を追う若者にとって、大きな後押しになるのではないでしょうか。

支援金で賄いきれない場合も併せて利用できる制度がある

就学支援金受給のための年収要件がクリアできず、国の就学支援金だけで授業料が0円にならなかった世帯であっても、都道府県独自に行なっている助成金制度を利用することで、授業料が0円になる可能性が高くなっています。この自治体による助成金制度は国の支援金制度と併用することができますから、多くの場合で授業料実質0円が実現するのではないでしょうか。各都道府県によって実施要件がことなる場合がありますから、住所地の自治体に問い合わせてみると良いでしょう。

また、国の就学支援金や都道府県の助成金の他にも、無利息の奨学金制度や、卒業することが条件で返還免除となる奨学金もあります。奨学金は、申し込んだ後での辞退ができるケースがありますから、もし学費等に不安がある場合は早めに申し込みだけでも済ませておくと良いかもしれません。

生活保護世帯の場合、私立高校の進学に該当する扶助は「生業扶助」になりますが、現在は「高等学校等就学費」として支給されています。生活保護世帯の子供が高校に在学する場合、国の支援金や自治体の助成金などを活用した他に、「高校生等奨学金給付制度」を利用することができ、年額で5万円程度支給されます。これらの補助を活用することで、生活保護世帯であっても高校進学を視野に入れることができます。

さらに、私立の通信制高校の中には、スポーツや学業で優秀な人を特待生として受け入れている学校があります。特待生になると、学費の一部が免除になる場合があります。何か秀でた才能を持っているという方は、特待生を狙ってみるのも良いでしょう。

うまく制度を活用して未来の選択肢を広げましょう

このような各種支援制度や助成金制度、奨学金制度などを活用することで、学費等の負担を限りなく無料に近づけることができます。現代では、自分が目指す進路を歩んでいくためのサポートが充実しているのです。そのため、学費が少ない公立の通信制高校に限定することなく、私立の通信制高校であっても進学先の選択肢に加えることもできます。 

学費の心配をする必要は無くなりますが、サポート校にかかる費用を支援する制度や助成制度などは今のところないため、ある程度の費用負担があるということを念頭に置いておく必要があります。それらを踏まえて、本当に自分が進学したい高校はどこなのか、公立や私立の分け隔てを無くし、高校に進学する本当の目的を真剣に考えることができるのではないでしょうか。通信制高校であっても、全日制高校と同じように高等学校の卒業資格を得ることができます。通信制高校を卒業することができれば、大学や専門学校への進学もでき、就職をすることもできます。自分の未来を想像し、それにつながる通信制高校を見つけていきましょう。