不登校の理解とその支援
“不登校の子どもに関わる大人ができること”

公開日: 2021年12月16日 更新日: 2021年12月16日 不登校の理解とその支援 "不登校の子どもに関わる大人ができること"

 

不登校の子を持つご両親は、やりきれない思いや苦しい思いを持ち、それを誰にも言えずに思い悩み、焦り、考え続けることが多いようです。しかしお子さまとの関わり方、不登校に対する捉え方を変えることで、「学校へ行けない」お子さまの援助をすることができます。

 

無理やり学校へ行かすのは逆効果。まずは理解してあげる

学校へ行かないことを叱ったり、責めたりすることで子どもは不安を感じ、自尊心を失っていきます。大切なのはお子さまの現状を受け入れ、気持ちを理解してあげること。不登校になる理由は様々ですが、子どもの言動に積極的に関わり,理解しようとすることで子どもは親と、そして自分自身と向き合うようになります。そのためにも常日頃からたわいもない会話をしたり、子どもの関心事に興味を持つ、また子どもの関心ごとに主体的に関わることなどで、親子の間に「言える―聞ける」関係を築くことができます。

 

子どもが所属感、貢献感、居場所感を得るための言葉がけ

【子どもが所属感、貢献感、居場所感を得るための言葉がけ】

貢献や協力に注目する 「あなたのお陰でとても助かった。」
過程を重視する「 できなかったけど、一生懸命やったね。」
すでに達成している成果を認める「 この部分はとてもいいと思うよ。」
失敗をも受け入れる「 残念そうだね。この次はどうすればいいと思う?」
個人の成長を重視する「この前よりずいぶん上手になったね。」
相手の判断をゆだねる「 あなたはどう思う?」
肯定的な表現を使う(リフレーミング)「気が小さいのではなくて慎重なんだね。」
「私メッセージ」を使う「 頑張っている姿を見れて、私は嬉しい。」
「感謝し共感する」 「 協力してくれてありがとう。助かったよ。」
行為と人格を区別する  「整理できない部分は、直した方がいいと思うよ。」

一人で抱え込まないで!

「子どもの将来に関する不安」の解消には「登校」が目標であると思い込み易いのですが、まずは社会と向き合える土台を作ることが大切です。上記のような心構えを持った上でカウンセリングを受けたり、同じ悩みを持つ親の会に参加して情報を共有し、アドバイスを受けることも一つの手段です。

 

有識者 プロフィール

伊藤隆氏 伊藤隆 氏

現職上宮高等学校 教諭,関西学院大学大学院非常勤講師、大阪樟蔭女子大学非常勤講師
所属学会日本心理臨床学会,日本教育心理学会
資格公認心理師,臨床心理士,学校心理士スーパーバイザー
研究テーマ不登校の子どもをもつ母親の心理的成長過程,登校忌避感情と居場所
取り組み学内では「保護者・教職員のための勉強会」「親の集い」「ホップの会」心理面接、学外では「不登校を考える会」
著書・シリーズ 荒れる青少年の心 ひきこもる青少年の心(2003)北大路書房
・ストレスに負けないこころを育てる学校の取り組み(2005)教育開発研究所
・よくわかる教育相談(2011) ミネルヴァ書房
ほか