今通っている高校になじめないのでやめたい。高校を中退したけど、高校卒業の資格が欲しい。仕事をしながら高校卒業資格を修得したい。自分のスタイルに合わせて高校卒業したい。そうしたさまざまな理由で通信制高校を選ぶ人が増えています。
ここでは、これから通信制高校への転入や編入を検討している方へ向けた「転入・編入とは?」といった基本的なことから具体的な手続きまで広くご紹介します。
転入と編入は似ている言葉ですが、意味が異なります。それぞれ受け入れ時期や必要な手続き、場合によっては卒業時期が異なります。通信制高校へ入学する前に、転入と編入の違いについてよく理解しておきましょう。
現在、高校に在籍中の人が学年はそのままに新たに別の高校に入学することを転入と言います。一般的に転校として知られているものがこれに当てはまります。高校に在籍している期間に空白が無く、これまで修得した単位を引き継ぐことが可能であるため、卒業時期が遅れることもありません。不登校状態だったとしても学校に籍を置いているのであれば、転入扱いとなります。後述しますが、現在の高校から移る手続きがあるため、在学中の高校に転入する意思を伝え、転入のための書類を手配してもらう必要があります。
一度、高校を退学した人が新たに学校へ入りなおす再入学のことを編入と言います。そのため、元の学校から次の学校へ入るまでに空白期間があります。
また、転入と違って引き継げない単位があります。例えば、1年生次に退学した場合は単位未修得であるため、編入する場合は新入学と同じ扱いになります。
転入・編入の違いは、入学前の空白期間の有無だけではありません。通信制高校は各学校によって入学できる時期が変わってくるという違いもあります。具体的に転入では随時入学できるところが多いのに対して、編入では4月と10月の2回といったように入学時期を限定しているところが多いという傾向があります。
また、随時入学できる転入の場合も3年生の後期など卒業が近いタイミングの場合は、転入先の通信制高校での単位修得が足りず卒業時期が伸びてしまう可能性があります。行きたい学校や興味のある学校が決まったら問い合わせや資料請求をして、受け入れ時期や修得単位もしっかりチェックしておきましょう。
編入は一度退学してからの再入学となるため、在学時の単位を一部引き継げずその分卒業までの時間がかかる場合があります。例えば、一年生の時に学校を辞めた人は修得単位が無いため、編入先の学校では新入生として入学することになります。二年生や三年生の時に退学した場合も同様で数か月授業を受けていたとしても学期の途中で退学した場合、その学期の単位は未修得となるため編入先の高校では新たに一から授業を受けなおす必要があります。編入時期によっては半年から1年ほど在学時間が長くなってしまう可能性があります。
また、編入の場合、面接や筆記試験、そのほかには作文といった入学試験を受ける場合があります。ただし選考というよりは、現在の学力を学校側が判別するという目的で行われるものとなります。
編入は入学時期が限られるとお伝えしましたが、これが理由となって転入と比べて同じだけの単位を修得するための期間が短くなってしまう場合があります。GWを経て転入した場合と一度退学してから編入した場合を比べてみましょう。
GW~年度末までの約11か月間で単位を修得します。4月~GWまで授業を受けた分は転入先の高校で再度受けなおすことになります。
GW以降の入学したタイミングから残りの期間内で単位を修得します。例えば、編入した高校が10月受け入れだった場合、10月~年度末までの約6か月で単位を修得します。GW~9月末まではどこにも在学していない空白期間となりますので転入と比べると半年間のロスを抱えて単位修得することとなります。
このように転入と編入では、数か月から1年の単位でずれが出ます。卒業時期が遅れる在学期間が長くなる場合、その分学費も多くかかることになります。もし、この記事を読んでいる方が転入か編入で迷っているのであれば、転入を検討されることをおすすめします。
通信制高校に限らず、高校の入学において何歳までといった年齢の制限はありません。全日制高校では中学校を卒業してすぐに入学したいわゆる現役生がほぼすべてを占めていますが、通信制高校は中学卒業と同時に入学する人もいれば、数年から十数年の社会人経験の後、入学する人もいます。年齢も経歴もバラバラな人たちが集まって一緒に勉強しているのが通信制高校なのです。
文科省の学校基本調査によると令和元年の通信制高校に通う生徒数は197,696人おり、そのうち19歳以上の現役生でない人だけでも35,879人と18%を占めています。50歳以上に絞っても日本全国で900人以上の方が在学しています。
【参考資料】高等学校通信教育の現状について (mext.go.jp)
通信制高校には、「広域」「狭域」という2種類があり、狭域の通信制高校は学校所在の都道府県に住所か勤務地があることが入学条件となります。基本的に公立の通信制高校が狭域となります。これに対して、私立の通信制高校は広域であるため、様々な地域から通うことができます。
定義上は3都道府県以上を受け入れていれば広域ということになりますが、日本全国どこからでも転入・編入ができる通信制高校も少なくありません。入学を希望している学校が募集区域に当てはまっているか、事前に学校HPや資料を見て確認しましょう。
すでに高校卒業資格を持っている人は入学できません。高校を卒業していて通信制高校に行きたいという人はいないかと思いますので実質的にほぼだれでも入学が可能です。
通信制高校への入学を決めたらその次は手続きを確認しましょう。ここでは手続きの流れや必要書類についてお伝えします。
まずは、入学希望の通信制高校から願書を取りよせます。願書が届いたら、在籍中の学校もしくは以前通っていた学校から「単位習得証明書」を発行してもらいます。必要事項を記入し、在籍中の学校もしくは以前通っていた学校へ郵送または持参します。証明書が発行されたら、入学希望の学校へ出願です。
書類審査が通れば、面接や入学試験を受けます。学校によって試験内容は筆記試験以外に面接や作文など様々ですので受験する高校の入試内容をよく確認しておきましょう。試験に合格すると無事入学です。
学校によって違う部分もありますが、基本的には以下を求められます。
通信制高校は、約5割が転入学・編入学しています。
【参考資料】広域通信制高校に関する実態調査結果について(概要)【確定値】 (mext.go.jp)
今通っている全日制高校があわない、勉強についていけなくなったから学校に行くのが億劫である。高校を中退したけど、高校卒業の資格が欲しい。半分の人が同じような境遇の中で転入や編入をしています。その為、今通っている学校でなじめなくても心配はいりません。あなたの状況を理解してくれる友人や先生に恵まれ、安心して学校生活を送ることができます。
現在、通信制の高校へ進学している生徒は年々増加傾向にあり、2020年に初めて生徒数が20万人を超えたときはニュースにも報じられました。このように全日制高校から通信制高校への転入や退学してからの編入は決して珍しいことではありません。今通っている学校へ行くのが億劫であれば、早めにご両親や学校の先生に相談してください。そのうえで、環境を変えることが必要であれば、通信制高校への転入も検討にいれてみましょう。すでに退学している人もぜひ編入を検討してみてください。