学年制の全日制高校と違い、通信制高校では単位制を採用しています。どちらの学校へ通っても高校卒業資格を取得することができますが、単位制の卒業条件や単位の取得方法は学年制とどのような違いがあるのでしょうか。
本記事では、通信制高校の単位の仕組みや学年制との違いや単位制の特徴やメリットについてご紹介いたします。通信制高校へ入学をお考えの方に参考としていただければ幸いです。
通信制高校の単位制と全日制高校の学年制では、どのような違いがあるのでしょうか。単位制と学年制の違い・単位の取得方法・卒業条件など、それぞれ解説していきます。
まず、単位制と学年制の違いについて説明いたします。
単位制では1年間で取得する単位は決められていません。卒業までに必要な単位を取得すればいいので、働かれている方や心身の問題から自分のペースで学習したい方に単位制は最適な制度と言えます。
このほかにどの教科・科目から学習するか自分で決めることができます。そのため、勉強以外でやりたいことがあればそちらに時間を割くこともできますが、学習計画を立てて勉強しなければ3年間での卒業が難しくなるため、自己管理能力が重要です。
学年制は1年間で取得する単位を学校が決めているため、それに従って学習します。
必要な出席日数を満たし、定期試験の結果によって単位取得が認められ進級していきますが、出席日数不足・試験で合格ラインとなる点数を取れなければ留年することになります。
学年制は毎日、学校に通うため友達が出来やすいメリットがありますが、集団行動が求められるため、校則が厳しいなど自由度が低いデメリットもあります。
通信制高校で単位を取得する方法は教科・科目ごとのレポート提出、一定回数のスクーリング(通学)、単位認定試験に合格する。この3つです。
レポートは添削指導と言い、内容は対象となる教科・科目について理解できているかの確認なので勉強さえちゃんとしていれば、それほど難しくありません。教科書を読んで内容を理解し、それでも不安があれば参考書などで調べれば問題ありません。先生が添削し、理解できてないと判断されると再提出が必要な場合もあります。
次にスクーリングですが、通信制高校は通学頻度が全日制より低いだけでゼロではありません。高等学校指導要領によって決められた単位時間、学校に行き対面授業を受ける必要があります。単位時間とは1単位50分です。教科・科目によって、スクーリング回数は異なります。
最後の単位認定試験とは名前の通り試験です。年1~2回行われ、合格すれば単位取得が認められます。試験の問題はレポートの内容から出題されるため、それほど難しくはないようです。
卒業に必要な単位は74単位です。上記でご説明したレポート、スクーリング、単位認定試験この3つを満たし、合格することで単位を取得できますが単純にこれを74単位分行えばいいのではなく、この他に3年以上在籍することと30単位時間以上の特別活動が必要です。
3年以上在籍する必要があるので、仮に1~2年で74単位を修得できたとしても卒業とはいきません。ほとんどの通信制高校が1年間で取得できる単位数の上限を35単位前後としているため、どんなに優秀であったとしても学年制同様、最低3年間在籍しなければ卒業できません。
また、30単位時間以上の特別活動とは、対面授業の他にホームルームや遠足、体育祭といった学校行事、生徒会活動も特別活動に含まれます。74単位を修得し、高校卒業レベルの学力が身に付いていることが証明できても他の2つの条件も満たさなければ卒業はできません。これは全ての通信制高校で同じ条件です。
次に、学年制にはない単位制の特徴やメリットを3つご紹介します。
単位制のメリットとして自分のペースで勉強できるという点があります。
学年制では、学年ごとに取得する単位が学校によって決められているため、それに従って学習しなければいけませんが、単位制ではそのような縛りはありません。例えば、体が弱く全日制のように朝から夕方まで机に向かうのが難しければ、今日は午前中だけ、体調が良い日は夕方までなど自分の好きなように学習時間を調整することができます。
この他に働いている、あるいは学校以外に芸能活動やスポーツの練習時間に多くの時間を当てたいと考えるなら、そちらの活動を中心として勉強は朝や夜などの空いた時間や活動がない日に行うなど、自分のペースで勉強できるのが単位制のメリットです。
通信制高校では、卒業までの学習スケジュールを自分で考える必要があります。
1~2年目に単位を取れるだけ取得して、3年目は進学に備えて受験勉強に集中できるようスケジュールを組んだり、通信制高校の中には医療や美容、その他の専門分野の知識・技術を学べる学校があるので、それら専門分野に関する勉強と高校卒業資格に必要な勉強をバランスよく進めていくなど、生徒が自分の将来について考えながら無理のないスケジュールを組むことができます。
ただし、日々の勉強のペースも卒業までの年単位のスケジュールも自己管理が必要不可欠です。自分で考えて決めるということは、その結果に責任を負うことになるので、よく考えて卒業までのスケジュールを立てる必要があります。
学年制の学校から単位制の通信制高校へ転入する場合、それまでの単位はどうなるのか気になる方が多いかと思われます。
まず、「転入」とは在籍する高校を空白期間なく転籍することを言います。学年制は進級時に前学年の単位を取得したとみなされます。仮に2年生の途中で転入すると1年生時の単位は取得しているとして通信制高校へ引き継げますが、2年生の単位は取得してないことになり、通信制高校転入後に改めて単位を取り直さなければいけません。
もしも、2年生の年度終了直前で転入すると、本人の学力に関係なく2年生時の単位は取得したと認められず、1年間の学習が無駄になる形になってしまうので転入はタイミングが重要です。
通信制校以降の単位認定は通年科目と半期科目に分かれています。この2つについて、それぞれ説明します。
1年間を通じて単位の取得が認められる科目を通年認定科目と言います。1年間を通じて学習する科目という意味で4月に入学して、その科目を勉強しレポート提出、スクーリング、単位認定試験に合格すると翌年の3月に単位の取得が認められる科目ということになります。
通年認定科目に対して半期認定科目は4月から9月を前期、10月から3月を後期として両方の期末ごとに単位取得が認められる科目のことを言います。
半期認定科目は、1単位の科目を週に2時間実施して半年間で学習することで単位が認定されることになります。通年認定科目で1年を通じて学習することを半年間に圧縮することで単位を取得することになります。
この半期認定科目は全ての通信制高校で導入されている訳ではありません。導入している学校の方が少ないようなので、入学を考えている学校に半期認定科目があるのか確認しておくと良いでしょう。
単位制を採用している通信制高校は自分のペースで勉強できるだけでなく、どの科目から勉強するか自分で決められる自由度の高さもメリットと言えます。反面、3年で卒業するには立てたスケジュールに沿って勉強していく自己管理能力が求められますが、学校の勉強以外にやりたいことがある場合や、毎日の通学や集団行動が苦手な方にはストレスなく勉強に集中できる環境を作ることができます。
本記事でご紹介した内容は通信制高校の仕組みや単位取得方法などです。学校ごとの特徴などを知りたいとお考えでしたら、無料の合同個別相談会を定期的に開催しております。説明会を通じて、ご自分やお子様に合った学校と出会えるよう、皆さまの参加をお待ちしております。