通信制高校の入試対策(作文)

公開日: 2022年6月7日 更新日: 2022年6月7日

 

通信制高校の入試では作文の提出が求められることが多く、全日制高校の入試とは異なります。作文なら簡単と甘く見るのは危険です。自分の考えや気持ちを言葉にするのは難しく、言葉にできても文字数が足りない・もしくはうまくまとまらないことがあるので対策が必要です。

この記事では、通信制高校が入試で作文を採用する理由や作文のテーマ、書く際のポイントなどを解説いたします。入試対策の1つとして、参考にしていただければ幸いです。 

通信制高校の入試

通信制高校の入試は作文と面接が多いと言われていますが、それはなぜでしょうか。また、入試の時期はいつ頃になるでしょうか。

 ”作文と面接での試験を行う高校が多い”

通信制高校の入試は、作文と面接によって合否の判定が行われるのがほとんどです。
学科試験を実施する高校は、それほど多くありません。通信制高校は学力ではなく、なぜ、この学校に入学したいと思ったのかという志望動機が重視されます。

通信制高校の入学希望者の中には中学校時代に不登校を経験した・高校には進学せず社会人として働いているが高校卒業資格を取得したい・高校の勉強をしたいなど様々な理由から入学を希望することがあるため、学力ではなく勉強したい・高校卒業資格を取得したいという意欲が評価されます。 作文と面接の2つが入試として多いだけで通信制高校全てが同じではありません。入学を希望する高校の入試内容については事前に確認をしましょう。 

”入試の時期”

入学時期は4月が基本で、これは通信制高校も同じです。
しかし、通信制高校は4月と10月にも入学を受け入れている学校があります。これは珍しいことではありません。 

入学時期が2つある理由は、中学校卒業時に進路を決めずに卒業した・体調不良などで高校入試を受けることができなかった・高校に入学したものの何らかの理由で退学をした。このような人達が改めて高校で勉強したいと思った時に翌年まで待たずに高校に入学する機会を作るためです。遅れて入学すると勉強についていけるか不安になるかもしれませんが、通信制高校は単位制なので留年という概念がありません。勉強も自分のペースでできるので、置いていかれるという不安を感じることはありません。

”作文はどのタイミングで必要?”

入試で作文が求められると入試日に試験会場で作文を書くことを想像するかと思いますが、これは半分正解で半分不正解です。試験会場で制限時間内に指定文字数以上の作文を書く場合もあれば、入学願書など出願に必要な書類の1つとして作文の提出が求められることもあります。

出願書類の1つとして求められる場合だと自宅で時間をかけて書けるので、あまり苦ではないかもしれません。
しかし、会場で書く場合は制限時間30分前後。テーマもその場で伝えられるので作文を書くのが苦手だと思う人は自分の考えを言葉にまとめられるように練習した方が良いでしょう。ちなみに、どちらの方法でも文字数は400から多くても800文字くらいのようです。  

作文を作る際のポイント

学校側に意欲を伝えて、印象を良くするために必要な作文作りのポイントを確認しましょう。

”志望動機やこれまでの学生生活について求められる”

作文のテーマとして、志望動機やこれまでの学生生活について書くよう求められることが一般的です。志望動機から受験生の意欲を。これまでの学生生活から人柄を確認して、高校を卒業する意思や、人間関係などで悩んだ経験があるなら、入学後にどんなサポートが必要かなどを判断します。

通信制高校の入試は落とすのが目的ではなく、受け入れる準備が目的ですが、それでも「ここなら入れると思ったから」と、いうような意欲を感じない理由では良い印象を与えません。目標がはっきりしている志望動機を書いている受験生がいれば、そちらの評価が上になるのが自然です。 志望動機はポジティブなものを。学生生活については嘘偽りなく正直に書きましょう。

”文字数は原稿用紙1枚程度が多い”

先ほども触れましたが作文の文字数は400文字前後であることが多く、800文字の作文を求められることもあります。原稿用紙1枚で400文字なので、どのくらいの文字数か想像しやすいかと思います。原稿用紙1枚分も文章を書くのは大変に感じるかもしれませんが、8割くらいは埋められるようにしましょう。改行が多く、箇条書きのように見えると明らかに不自然で文字数をごまかそうとしているのが一目で分かります 

空欄が目立つよりも、びっしりと書かれている方が良い印象を与えやすいのは間違いありません。テーマに沿って、自分の考えや気持ちを正直に書き、余裕があれば読みやすさを考慮した文字の大きさと適度な改行を入れて書けると、なお良いでしょう。

”通信制高校での学校生活やその先の将来について書けるとなお良い”

出題されるテーマを踏まえた上で、通信制高校での学校生活や将来についても書けると印象は良くなります。高校に入学後の学校生活という直近の将来についてでも構いません。どんな高校生活を送りたいのか、何を学びたいのかも書いてみましょう。学校生活やその後の進路について、具体的なイメージを持っているということは高校生活でしっかりと勉強して卒業する意思があることを示しています。

「こんなことを書いたら笑われるかも」
と、不安になったり恥ずかしいと考えなくても大丈夫です。意欲ある生徒を歓迎しない高校はありません。
正直に高校生活でやりたいこと、将来の夢や夢を実現するために卒業後の進路についても書きましょう。

書くことが思いつかないときに

作文を書こうとしても、どうしても思いつかない・考えを言葉にするのが難しいことがあります。
そのような時はどうすべきでしょうか。

”通信制高校に行きたい(全日制高校に行きたくない)理由を考える”

なぜ、通信制高校を選んだのか、その理由を考えてみましょう。通信制高校は毎日、通学せず勉強も自宅などでの学習が基本なので全日制と比べると自由な時間が多くあります。この自由な時間を使って、学業以外に専念したいことをする。

例えば芸能活動やスポーツ活動。音楽活動などに時間を使い、高校卒業に必要な勉強時間は単位が取得できる範囲に抑える。または、不登校の経験があり、全日制のように毎日通学して集団行動しなければならないと馴染めるか不安だったので、人と接する機会が少ない通信制高校を選んだ。仕事をしているので短期間で一気に通学できる合宿形式がある通信制高校を選んだ。など、人それぞれ通信制高校を選んだ理由があるはずです。

通信制高校を選んだ理由を思い返すと、通信制高校でなければならない理由が見えてきます。
それを言葉に置き換えて作文に書いてみましょう。 

”ネガティブな内容になっても良い”

作文に書く内容はポジティブな方が良いように思うかもしれませんが、ネガティブな内容でも構いません。
 通信制高校には色々な悩みを抱えた生徒が入学を希望することは珍しくありません。学校時代や以前、在籍していた高校でいじめなどの人間関係に悩み、不登校になってしまった。学力に自信がなく、皆が同じテンポで授業を進めていく全日制高校では卒業できるか自信がないなどの悩みを作文に書くと一見、ネガティブな内容に感じるでしょう。

しかし、このような悩みを抱えていても通信制高校に受験している時点で今の状況を少しでも変えようという前向きな姿勢がある証拠です。悩みを隠さずに書けば、先生方もどのようなサポートが必要か判断することができるので、無理にポジティブなことを書かなくても問題ありません。

まとめ

作文で自分の考えや気持ちを人に伝えるのは意外と難しいものです。出願書類と一緒に提出する形なら、家で時間をかけて考えることができますが、会場で制限時間内に自分の考えを言葉にするには慣れが必要なので、学科試験じゃないからと油断せず志望動機などよく出るテーマについて、考えをまとめておき、時間内に書けるように練習をしましょう。

作文は練習が重要です。恥ずかしいと思うかもしれませんが親など周りの人に読んでもらい、言葉の使い方に間違いがないか、自分の考えや気持ちが読んだ相手にちゃんと伝わるかなどを見てもらうと良いでしょう。
無理に言葉を飾る必要はありません。自分の考えや気持ちが伝わるように意識して作文を書きましょう。