通信制高校の授業|全日制高校との違い

公開日: 2022年5月30日 更新日: 2022年6月7日

 

通信制高校は学校に行かずに自宅学習を行う通信教育のようなものを想像しないでしょうか?通信制高校は自宅などで自習するのが基本ですが一切、学校に行かなくてもいい訳ではありません。卒業要件を満たすためには、登校して先生から直接、授業を受けなくてはいけませんが、通信制高校の授業形態は一般的な通学形態から全日制高校にはない珍しい形態もあります。

この記事では、通信制高校の授業形態や全日制高校との違いなどについて解説いたします。 

通信制高校の授業方法

通信制高校の授業形態、授業内容と課題について解説いたします。

”大きく3種類の形態がある”

通信制高校の授業形態は大きく分けて3種類あります。
全日制のように毎週通学する形態や月に数回まとめて通学する形態などがある。

集中型

夏や冬、ゴールデンウィークなどに数日間連続して通学し、授業を受けるのが集中型です。1日の授業時間は長いものの短期間で、必要な授業を受けることができるので仕事がある社会人の方に向いています。

通学型

通学型は週に数日通学する形態です。
毎日通学することもあれば、週に3日だけなど通学回数は自分で決めることができます。
登校時間はお昼近い時間や午後からなど授業時間が短いのも特徴です。 

合宿型

学校内の施設や宿泊施設で授業を受けるのが合宿型です。
年1~2回で必要な通学を終えることができますが、合宿先までの交通費や宿泊費用は学費とは別に発生するので経済的な負担が大きくなるデメリットがあります。

”授業内容は全日制と同じだが時間が異なる”

通信制・全日制どちらも卒業には74単位の修得が必要です。そのため、授業内容は変わりませんが授業時間が異なります。全日制高校では朝8時台に登校し9時頃から授業開始。お昼休憩を挟んで16時頃まで授業が行われるのが一般的ですが、通信制高校では9時~10時頃と少し遅めの時間に登校し、終了時間は15時前後と全日制高校よりも早く終わることや午前か午後どちらかだけ授業が行われることも珍しくありません。 

通信制高校では1単位の修得に3回のレポート提出とスクーリング(通学)を1回することで修得が認められます。スクーリングで受ける授業は1単位時間50分と授業時間自体は全日制と同じですが受ける回数が少ないため、上記のように登校しても短時間で終えることができるのが通信制高校の授業の特徴です。

”課題”

通信制高校は基本的に毎日、通学する訳ではないので生徒は自宅などで自習を行います。しかし、自習では学習内容がしっかり身に付いているのか確認が困難です。そのため、学習したことを理解できているか確認するためにレポートの提出を課題としています。

レポートの提出を怠ると卒業に必要な単位認定試験を受けることができなくなるので、非常に重要です。
レポートは教科書や参考書を確認しながら作成すれば解くことができるレベルなので、難易度はそこまで高くありません。注意してほしいのが、レポートは提出して終わりではないことです。
先生が添削し学習内容が理解できているか確認し、間違いが多すぎると再提出が必要になることがあります。

  

全日制高校との違い

通信制と全日制どちらも卒業するには74単位の修得と要件自体は同じですが、通学頻度や授業回数以外にも違いがあります。主な違いを4つ、ご説明します。

”学年の概念がない”

全日制高校との大きな違いとして、通信制高校では学年の概念がないことです。
高校の学習制度は「学年制」と「単位制」があり、通信制高校は単位制を採用しているのがほとんどであるためです。卒業に必要な74単位を修得するには、学年制である全日制高校では学年ごとに修得する単位数が決められ、1つでも単位を落とせば留年して翌年、また同じ学年を過ごさなければいけません。

対して通信制高校は、どの科目から修得するか生徒が決めることができます。在籍1年目に学習した科目の単位を1年以内に修得できなくても、留年のような処置はありません。3年以内に74単位を修得すればいいので、得意な科目から修得して苦手な科目は後で修得するのも、その逆でも問題もありません。

”学費は通信制高校の方が安い”

通信制高校は学費を安く抑えることができます。
最も学費が安い公立の通信制高校だと年間5万円前後。私立では安くて年間25万円前後です。
全日制高校は公立で年間25万円ほど。私立だと安くても75万円前後と、公立・私立ともに通信制高校の方が学費は安くなります。

学費が安い理由は全日制高校では授業料を一律で支払うのに対して、通信制高校は自分で選択した授業の授業料だけを支払う形式であること、全日制高校では着用が義務付けられていることが多い制服を購入しなくていいことです。制服は安くても5万円はかかります。通信制高校にも制服はありますが、着用義務がないので購入しなくても構わないため、学費を安く抑えることができます。 

”自分のペースで学べる”

全日制高校では全員が同じペースで授業を受けるため、ついていけないと勉強が大幅に遅れてしまいます。
通信制高校は自宅などで自分のやり方で学べるので分からないことがあれば、そこに注力して理解できるまで勉強することができます。どうしても分からなければスクーリングの時に先生に教えてもらえばいいので、勉強が遅れていると精神的な負担を感じることがありません。

勉強時間も自分のペースで決められるので朝はゆっくりしたいから夜に勉強する。
逆に午前中に勉強して午後は趣味やアルバイトに時間を使いたければ、それでも問題ありません。
時間の管理は大変ですが、通信制高校では自分のペースで学ぶことができます。 

”校則が少なくアルバイトOKの学校も多い”

通信制高校の校則は全日制高校と比べると、あまり厳しくありません。
自主性を重んじているという理由もありますが、通信制高校は中学校から直接、進学した生徒もいれば、普段は社会人として働いている生徒もいます。社会人として働いている生徒がいるのに全日制高校の校則にあるようなアルバイトなどの就労を禁止すると、そもそも入学することができなくなるので禁止している通信制高校はほとんどありません。

 制服も通学頻度が高くないのに購入させるのは生徒の経済的負担を増やすだけになるので、購入義務がなく服装も基本的に自由です。髪型や髪色、化粧も生徒の年代が幅広いため、こちらも校則で制限されることはほとんどありません。

通信制高校の授業でよくある悩み

通信制高校の授業はご紹介したように自由度が高いので学習しやすいとも言えますが、自由度の高さが悩む原因になることもあります。

 スケジュール管理が難しい”

通信制高校はどの科目から修得していくか自分で決めることができますが、そのためには学習計画を自分で立てる必要があります。分からないことがあれば、時間をかけて学習することができますが遅れた分のスケジュールは見直さなければいけないため、スケジュール管理には自己管理能力が必須です。自己管理能力が乏しいと、ちょっとしたスケジュールのずれが徐々に大きなものになり、3年間で卒業することが難しくなります。

卒業が遅れる・卒業を諦めることがないよう先生に相談するか、学費とは別に費用が発生しますが、サポート校に通い学習面のサポートを受けてスケジュール管理の見直しを図るのもいいでしょう。

学校の授業だけでは大学進学が難しい”

もう1つは通信制高校の授業だけでは大学進学が難しい点です。通信制高校の授業や学習内容は高校卒業資格取得を目的にしています。そのため、大学進学に適した学習レベルでないことがあります。授業内容とは直接、関係ありませんが仲間やライバルがいないことも通信制高校で大学進学を難しくさせるポイントです。

励まし合ったり、競う相手がいないと自分の勉強量が大学進学に見合ったものか判断しづらいためです。
しかし、通信制高校でも大学進学に注力した高校はあります。入学前に進学コースの有無や大学進学率を確認し、在学中はサポート校で学習サポートを受けて大学進学に必要な学力を身に付けるようにしましょう。 

まとめ

ご紹介したように通信制高校の授業形態は様々で、形態自体は同じでも高校によって特色があります。
スケジュール管理能力が必要ですが、自分のペースで学習できるので勉強についていけなくなるのでは?と不安に感じることもありません。入学を検討している通信制高校について詳しく知りたいとお考えなら、資料請求して確認することもできますが直接、聞いてみてはいかがでしょうか。

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