公立通信制高校の特徴とは?詳しく解説

公開日: 2022年6月7日 更新日: 2022年6月7日

 

全日制高校と同じように通信制高校にも公立と私立の2種類があります。公立の場合、学費が安いことが特徴として挙げられることがありますが、その他にどのような特徴があるのでしょうか。今回は公立通信制高校の特徴や、どのようなメリット・デメリットがあるのか、それぞれ解説していきます。

特徴として挙げられることが多い学費は私立とどのくらい違うのか。スクーリング方法についてもご紹介いたしますので学校選びの参考としてぜひ、ご確認ください。

 公立通信制高校の特徴

最初に公立通信制高校の特徴について確認しましょう。

 ”学費が安い”

公立通信制高校の特徴として、挙げられるのが学費の安さです。公立通信制高校の学費は年間5万円前後。3年間で卒業することができれば学費は総額15万円ほどで済ませることができるので、経済的負担はかなり小さいものとなります。就学支援金を活用すれば学費のうち、授業料を実質無料化することができます。

私立の通信制高校の場合、安くても年間25万円前後かかり、スクーリング(通学)回数や形式、専門分野を学ぶコースを選択している場合だと年間の学費は80~100万円まで上がる可能性があります。学費の他に制服も費用がかかりますが、公立通信制高校のほとんどは制服を採用していないため、服装にかかる費用は発生しません。

 ”公立通信制高校に通えるのはその地域に住む人か働く人”

通信制高校は広域制と狭域制の2つがあります。広域制は入学できる地域が3都道府県以上で、狭域制は学校がある都道府県と隣接する1都道府県に住んでいるか勤務先がある人にしか入学資格が与えられません。公立通信制高校は地方自治体の予算で運営していることから狭域制が基本で、逆に私立の多くは広域制を採用しています。広域制と狭域制。どちらの制度が良い悪いということはありません。

あくまでも、入学資格が広いか狭いかの違いで学習内容も高校卒業資格も変わりません。、公立校の場合、本校しかスクーリング施設がない場合があります。スクーリングしやすいかなどを含めて、自分に合う学校を選びましょう。

”スクーリングの日程が決められている”

公立通信制高校はスクーリングの日程が決められていることが多く、私立のように生徒の都合で日程を決めることができないのが一般的です。公立通信制高校は全日制や定時制も開設していることがあり、平日はこの2つの高校が校舎を使用しているため土日がスクーリングの日程となることが多く、まれに夜間や夏季など特定の季節にスクーリングが行われる学校もあります。

 このような各制度の高校が1つの校舎を使用していることを併置校と呼び、卒業証書の学校名はいずれも同じになります。通信制のみ開設されている場合は平日にスクーリングが行われることがありますが、公立通信制高校の生徒の約38%が20歳以上で占めており、平日よりも週末にスクーリングが行われる方が出席しやすい生徒が多いようです。

公立通信制高校のメリット・デメリット 

特徴に続いて、公立通信制高校のメリット・デメリットについて解説します。

”メリット”

公立通信制高校のメリットは特徴でも、ご説明したように学費の安さです。生徒自身が学費を支払う場合、1年間の学費が5万円前後であれば正社員として働いている方なら支払いに困ることはないでしょうし、社会人として働いていなくてもアルバイトで賄うことができます。

 もう1つは、20歳以上の社会人の割合です。先ほども触れましたが、公立制通信制高校の生徒のうち、約38%が20歳以上の社会人との調査結果があります。20歳以上の学生の割合が3%程度と言われている私立と比べて、働きながら通っている同じ社会人の生徒が多いと話が合いやすく、勉強についての相談や働いている業界や職種が同じであれば、仕事面での関係を作ることもできるため、学費の安さと社会人の割合の高さが公立通信制高校のメリットと言うことができるでしょう。

”デメリット”

通信制高校は3年で卒業するとは限らず、様々な理由から4年かけて卒業する人もいます。そのため、卒業率といわれる在校生に対する卒業者の割合があり、卒業率が33%だと1学年全員が卒業したとみなすことができます。令和元年度間の公立通信制高校の卒業率は14.5%。私立は34.7%になり、公立は4〜6割の生徒しか卒業していないとみなすことができます。 その理由は、学習サポートの差と考えられます。公立は予算の関係もあり学習サポートが乏しく、私立は予算規模や教職員の数も公立より多いため、手厚い学習サポート体制が整えられています。

この他に私立では生徒の都合を考慮したスクーリングの日程調整が可能な学校が多いのに対し、公立通信制高校は併置校だと平日や夜に校舎を使用できないため、スクーリングは土日のみなど日程調整が難しいことも卒業を困難にさせる原因となるようです。

自分に合った学校を選ぼう

卒業率が低いと公立はあまり良くないのでは?と、思うかもしれませんが、通信制高校を卒業するには本人の努力が何よりも重要です。公立・私立に関係なく、自分に合った学校選びが重要です。

”公立通信制高校は働いている人には学びやすい環境”

公立通信制高校は働いている人にとって学びやすい環境です。仕事を終えた夜や休日など、好きな時間に自宅で学習することができます。自己管理能力が必要になりますが、仕事が繁忙期になる時期は学習時間を抑えて、繁忙期以外の時期に学習に専念するなど学習時間のコントロールも可能です。

 校則もあまり厳しくないため髪型や髪色を注意されることもありませんし、公立では基本的に制服がなく服装も自由なので、窮屈な思いをせずに勉強に集中することができます。

”自分で時間を管理することが必要になる”

通信制高校は単位制なので全日制高校と違って、学年ごとに決められた単位を取得しなければいけないという制約がなく、卒業までに74単位を取得すればいいので自分の都合に合わせた学習が可能です。ただし、自分の都合に合わせた学習ができる反面、計画的に学習できないと卒業が長引く・諦める可能性もあります。

計画的な学習をすることに自信がなければ公立の他に学習サポートが充実していることが多い私立の通信制高校への入学も検討してみるといいかもしれません。

”サポート校も活用しよう”

学習サポートが乏しい公立通信制高校では卒業できるか不安に感じるなら、サポート校を活用しましょう。サポート校とは、通信制高校の生徒の学習や心理面などをサポートする学校です。利用する場合、学費とは別途、費用が必要ですが卒業に必要なサポートを得られるので、活用を検討してみましょう。 サポート校は、通信制高校を卒業するために必要なサポートが得られる塾や予備校のようなものです。

サポート校にだけ通っても高校卒業資格は取得できないので注意しましょう。

”自分の地域の通信制高校のことを調べてみよう

公立通信制高校は各都道府県に1~4校あります。ご説明したように公立は狭域制なので、家や勤務先が学校と同じ都道府県内にないと入学資格がありません。同じ県内でも離れていて交通の便が悪く、スクーリングに苦労することもありますが協力校といって本校以外でも、スクーリングや定期試験を受けることができる場合もあります。

 お住まいの地域の公立通信制高校に問い合わせをして協力校などがないか調べてみましょう。

まとめ 

どの地域にお住まいでも公立通信制高校はあるので、入学することは基本的には可能ですが、土日中心のスクーリング日程、学習サポート体制の乏しさなどが原因か卒業率は低く、4割かそれ以上の割合の生徒が三年間での卒業を断念しています。働かれている場合は仕事と学業を両立できるかを考慮し、自分やお子さんに最適と思える通信制高校選びをしましょう。

 公立通信制高校では卒業できるか不安なら、サポート校の利用を検討してみましょう。当サイトでは数多くのサポート校をご紹介しております。お住まいやお勤め先の近くの公立通信制高校の他に私立も検討したいとお考えでしたら、当サイトでご紹介している私立の通信制高校をご確認いただき、学校選びの参考にしていただければ幸いです。