通信制高校は就職に向いているの?就職率は?

公開日: 2022年6月7日 更新日: 2022年6月7日

自分のペースで無理なく学習して高校卒業資格取得を目指せるだけでなく、様々な専門分野の知識・技術も学ぶことができる通信制高校。卒業後は進学か就職をすることになりますが、今回は通信制高校の就職率について解説いたします。ネットなどでは、通信制高校は就職で不利になると書かれていることがありますが、実際はどうなのでしょうか?

 こちらの記事をお読みいただき通信制高校の就職率の実態について、ご確認ください。 

通信制高校を卒業した後の進路は?

通信制高校卒業者の進路について、文部科学省の学校基本調査を基に確認していきましょう。

 ”全日制、通信制それぞれの就職率”

平成30年度間の全日制高校・通信制高校それぞれの就職率は全日制高校で17.2%、通信制高校では卒業者の19.6%が就職しています。通信制高校の就職率を公立・私立で分けて確認すると、公立通信制高校では21.9%。私立通信制高校では19.2%とされています。

通信制高校の卒業者の37.4%は進学でも、就職するでもない人で占められています。進学でも就職でもないとフリーターやニートなどを想像するかもしれませんが、通信制高校には社会人として働きながら通っている人や芸能活動やスポーツなどに専念することを目的に入学している人もいます。これらの人は、卒業後も同じ会社で働く・同じ活動を続けるため、この37.4%に含まれます。

 他に、通信制高校で身に付けたスキルでフリーランスとして働く人も、37.4%に含まれるため就職という意味では19.6%は正しい数字ですが、働くという意味では実状を反映しているとは言えないかもしれません。

https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/20200114-mxt_koukou02-000004042_4.pdf

 ”就職率は全日制とほぼ変わらない”

就職率で見ると、全日制と通信制に大きな差はありません。どちらも5人に1人の割合で就職を選んでいます。通信制高校出身だと就職で不利になると言われることがありますが、面接官の個人的な考えによって偏見を持たれる可能性は0ではありません。しかし、履歴書の学歴欄に全日制・通信制など記載する必要はないので、そもそも気付かれることがありません。

最近では、芸能人やスポーツ選手などが通学回数や学習時間を自分が専念したいことに合わせて決めることができる通信制高校を選んで入学することが増えているため、以前と比べて通信制高校に偏見を持つ人が減っているので、就職活動に影響を与えることはほぼないと考えていいでしょう。

 ”どの分野への就職率が高いか”

平成28年度の学校基本調査で通信制高校を卒業して就職した人の就職先の調査が行われており、その調査結果を確認すると通信制高校卒業者が就職先として選んだ分野・業界で最も多いのは製造業(9.66%)次いで宿泊業・飲食サービス業(6.59%)卸売業・小売業(5.86%)、建設業(5.56%)生活関連サービス(4.38%)と続いています。これらの分野・業界で必要とされる資格・知識・技術は通信制高校の専門コースで学べるため、身に付けることで就職活動の際に有利になる・就職後の収入アップを期待することができます。

 就職のために在学中にできること

卒業後の就職のために在学中にできることに何があるのか考えてみましょう。

 ”資格取得”

通信制高校の多くは、高校卒業資格取得に必要な学習以外に様々な専門分野を学べるコースも用意されています。その中には医療や美容、保育士や自動車整備士など就職に役立つ資格取得を目指したコースも複数用意されています。新社会人の場合、現在の能力ではなく将来性を期待したポテンシャル採用を行うので、必要な資格や知識、技術を有していなくても意欲などが評価されて、合否が判断されます。その中で必要資格を有していれば、選考で有利に働くことが期待できます。

他の応募者と差を付ける・即戦力として働くためにも資格を取得することは重要です。

 ”アルバイト、インターンをする”

アルバイトやインターンの経験をするのも重要です。学校では分からない職場での縦の人間関係や敬語の使い方、お金の取り扱いの大変さや仕事をする上で必ず言われる「報連相」報告・連絡・相談の重要性も知ることができるので、社会性を身に付けることができます。また、アルバイトやインターンでも、その職種や業界について肌で知ることができます。

実体験から得た知識を基に就職活動での業界・企業選びに活かすことができます。学業に影響が出ない程度にアルバイトやインターンをして、就職に役立つ知識を身に付けることもおすすめです。

 ”専門分野を学習する(WEB系、美容系、動物、会計など)”

専門コースで資格取得を目指すこと以外に、手に職をつけて就職に役立てることもできます。プログラミングや会計など専門的な知識が必要な職業では、在学中に学んだ知識を活かして早期に戦力となり得ることができ、実務経験を積んでいく中で今の仕事やキャリアを考えた時にどのような資格が有効になるか判断力を身に付けることもできます。

 美容や動物に関連する職業でも資格が必要なものがありますが、就職先で必要な知識・技術が身に付いていれば、資格は就職して経験を積んでいきながら取得すればいいと判断され、未経験の応募者より選考で有利に働くこともあります。

 ”学校のサポートも最大限活用する”

学校によっては、就職活動にも手厚いサポートが得られることがあります。生徒の成績や専門コースでのスキルレベルから、どのような企業が最適かアドバイスをもらえることもあるので、先生方に積極的に相談してみるのも有効です。学校の専門コースの中には企業と提携した授業を行っていることもあります。企業が提携を行うのは、その学校の専門コースで資格取得や知識・技術を身に付けた即戦力として期待できる学生を自社の社員として採用したいと考えている企業もあるため、入学前に専門コースの提携先について調べてみるのもいいでしょう。

 進学も視野に入れてみては?

通信制高校は、全日制高校では学ぶことができない専門的な知識や技術を学ぶことができますが、将来の目標によっては進学を視野に入れることも必要です。

 ”高卒と大卒では就職の選択肢に差ができる”

通信制高校で専門分野の知識・技術を学んで就職に挑むことも有効ですが、職種によっては大卒であることが応募資格となっている場合があります。大企業の総合職の多くは、4年制大学か大学院卒業者であることが応募資格とされていることが多く、資格の中にも大卒でなくても受験資格が得られるものはありますが、大卒という学歴の代わりに実務経験が数年、求められる場合があります。

将来、なりたい職種が学歴ではなく、その分野の知識・技術が重視されるのであれば問題ありませんが、高校入学前に将来の目標が決まっていなければ卒業後の選択肢の幅を広げるためにも大学進学も可能な通信制高校への入学を考えてみるのもいいでしょう。

 ”進学に力を入れたコースもある”

通信制高校は高校卒業資格取得を目的にしていることが一般的で、大学進学に対応していない場合があります。しかし、卒業生の18.0%が大学などへ進学しているように通信制高校から大学へ進学するのは不可能ではありません。大学進学コースを設けている学校もあり、難関大学への進学実績が豊富にある学校も珍しくありません。

大学進学を目指した学校では、通信制高校の自由に使える時間が多いメリットを活かして、苦手な教科・科目に重点を置いて克服できるような学習時間の配分や、受験に必要と思われる様々なカリキュラムが用意されている他、個別指導や少人数制指導、自習スペースを設けるなど大学受験に集中できる環境が整えられています。

 ”自分の将来を見据えた学校選びを”

就職するにも進学するにも重要なのは学校選びです。通信制高校には、それぞれ特徴があります。大学進学に強みを持つ学校や多くの専門分野を学べる学校、資格や手に職をつけて就職に強みを持つ学校など様々です。夢や目標がはっきりしているなら、それを実現できる学校を選び、はっきりしとした夢や目標が見つかっていないのであれば、大学進学に強みを持つ学校や専門分野を学べる学校など、将来の選択肢を広げることができる学校への入学を検討してみましょう。

 各学校のホームページの確認や、資料請求をして情報収集を行い、自分に最適と思える学校選びをしましょう。

 まとめ

通信制高校の就職率について、ご紹介いたしました。通信制高校出身だと就職で不利になると心配する人もいますが企業から見れば、仕事で必要な資格・知識・技術が身に付いている人材の方が即戦力として期待できるため、就職で有利になるはずです。しかし、就きたい仕事によっては学歴が重視される場合があります。専門的な資格・知識・技術を身に付けるか進学して学歴を手にするか、夢や目標に合わせた学校選びをしましょう。当サイトでは、進学・就職それぞれに強みを持った通信制高校をご紹介しています。

 各学校の紹介ページをご確認いただくか、もしくは定期的に合同個別相談会を開催しておりますので、ご参加いただき学校選びの参考にしていただければ幸いです。