本記事では、不登校の詳しい定義や不登校となる理由、日本の不登校の詳しい現状などを解説。不登校は、精神的面や将来への不安を与えます。不登校の児童や生徒への対応方法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
令和4年度の調査では、小学校の在籍児童数6,196,688人のうち、不登校の児童は105,112人(※)でした。割合では1.7%となるため、100人に約2人の小学生が不登校となります。
小学生の不登校児童のうち、半数の50.9%が「無気力・不安」を不登校の理由と答えています。「生活リズムの乱れ・あそび・非行」が12.6%で2番目に多く、「親子の関わり方」が12.1%で3番目に多い結果(※)でした。
不登校の要因 | 不登校児童生徒に占める割合 |
無気力・不安 | 50.9% |
生活リズムの乱れ・あそび・非行 | 12.6% |
親子の関わり方 | 12.1% |
※ ”児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(令和4年度)”参照
同様の調査で、中学校の在籍生徒数3,245,395人のうち、不登校の生徒は193,936人(※)でした。割合では6.0%となるため、100人に約6人の中学生が不登校となります。小学生よりも中学生の方が不登校の生徒が多いことがわかります。
中学生の不登校生徒のうち、半数の52.2%が「無気力・不安」を不登校の理由と答えています(※)。「生活リズムの乱れ・あそび・非行」が10.7%で小学生と同様に2番目に多く、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が10.6%で3番目に多い結果でした。
不登校の要因 | 不登校児童生徒に占める割合 |
無気力・不安 | 52.2% |
生活リズムの乱れ・あそび・非行 | 10.7% |
いじめを除く友人関係をめぐる問題 | 10.6% |
※”児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(令和4年度)” 参照
同様の調査で、高等学校の在籍生徒数2,963,517人のうち、不登校の生徒は60,575人(※1)でした。割合では2.0%となるため、100人に約2人の高校生が不登校となります。高校生は中途退学という選択肢も可能なため、中学生よりも不登校の割合が減少すると考えられます。
高校生の不登校生徒のうち、40.0%が「無気力・不安」が不登校の理由と答えています(※2)。「生活リズムの乱れ・あそび・非行」が15.9%で小・中学生と同様に2番目に多く、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が9.2%で3番目に多い結果でした。
不登校の要因 | 不登校児童生徒に占める割合 |
無気力・不安 | 40.0% |
生活リズムの乱れ・あそび・非行 | 15.9% |
いじめを除く友人関係をめぐる問題 | 9.2% |
※”児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(令和4年度)” 参照
不登校には、さまざまな原因が関与しています。以下では、不登校になる主な原因から学校や家庭に関わる要因まで解説します。
小学生から高校生まで共通して、不登校になる理由が「無気力・不安」が最も多い結果でした。無気力・不安について、授業についていけないといった学業への不安感や、嫌がらせやいじめなどのクラスの対人関係に対する不安感などが考えられます。
小・中学校の長期欠席をしている不登校児童・生徒では、不登校の要因として以下が多くなっています。
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同様に、高等学校の長期欠席をしている不登校生徒では、不登校の要因として以下が多くなっています。
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※“児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(令和4年度)”参照
不登校の原因として、学校に関わる問題を挙げる児童・生徒も多くいます。小・中学校の長期欠席をしている不登校児童・生徒のうち、学校に関わる理由として以下が多く挙げられています。
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同様に、高等学校の長期欠席をしている不登校生徒のうち、学校に関わる理由として以下が多く挙げられています。
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どの年代も、「対人関係」「学業」「環境が変化した際の不適応」が学校に関わる主な不登校の要因として挙げられています。
※“児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(令和4年度)”参照
不登校の原因として、学校だけでなく、家庭に関わる問題を挙げる児童・生徒も少なくないです。小・中学校の長期欠席をしている不登校児童・生徒のうち、家庭に関わる理由として以下が多く挙げられています。
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同様に、高等学校の長期欠席をしている不登校生徒のうち、家庭に関わる理由として以下が多く挙げられています。
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不登校の要因として、家庭内での問題を挙げる児童・生徒も少なくないです。家庭内問題が、不登校へ繋がることもあるので、適切に対処することが望ましいと考えられます。
※“児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(令和4年度)”参照
不登校の子どもを持つ親としては、早く学校に登校させたいと気持ちが焦るかもしれません。ですが、不登校の子どもを無理やり学校へ行かせようとするのは避けるべきかもしれません。ここからは、不登校の子どもと接する際のNG行動について解説します。
不登校の子どもと接する際のNG行動の1つ目は、無理やり学校へ行かせようとすること。子どもは、学業や対人関係などの理由があり不登校となっています。不登校になっている理由を無視して、無理やり学校へ行かせることは、根本的な問題の解決には至りません。
また無理やり学校へ行かせることは、家族や周囲の方に対する信頼関係も損なわれる可能性があります。学校にも居場所がなく、家族や周囲の方からもきつく接された場合、さらに状態が悪化してしまう恐れもあります。
不登校の子どもと接する際のNG行動の2つ目は、不登校の理由を問い詰めること。不登校の問題を解決したいからといって、理由を問い詰めることは子どもにプレッシャーを与えてしまいます。
不登校の理由について答えることが辛いという状態を悪化させないためにも、問い詰めることは避けるべきです。子どもの口から不登校について話すタイミングがあれば、子どもに寄り添って話を聞いてみるとよいでしょう。
不登校の子どもと接する際のNG行動の3つ目は、感情的に叱ること。「感情的に叱って学校に行かせれば、そのうち気持ちが変わって登校できるようになる」と考える方もいるかもしれません。
これは逆効果で子どもの心に傷をつけ、さらに状態が悪化する場合があります。子どもの意見を無視して、信頼関係を損なわないためにも、感情的になったり、叱ったりすることは避けましょう。
不登校の子どもと接する際のNG行動の4つ目は、子供と距離を置くこと。不登校になると、家での生活が中心となります。その際に、親から距離を置かれてしまうと、自分自身の存在を無視されている気分となり、孤立感が増してしまう可能性があります。
孤立感や不安感を感じさせないためにも、子どもとのコミュケーションはとるように心がけましょう。
不登校の子どもに親ができる対応方法として、「家庭でできること」と「相談できる機関に頼ること」の2つがあります。ここからは、不登校の子どもへ親ができる対応法について詳しく解説するので、参考にしてみてください。
はじめは、家庭でできることを解説します。
不登校の子どもへ親ができる対応方法の1つ目は、家に居場所を作ってあげること。不登校で学校へ登校していない子どもは、家が唯一の居場所です。登校を煽るような声かけをすると、子どもは家に居場所がなくなってしまいます。
まずは家庭でできる対応として、子どもの精神を追い詰めるような声かけは避け、家で安らげるような環境を作ってあげましょう。
不登校の子どもへ親ができる対応方法の2つ目は、生活リズムをつけること。学校に登校していない子どもは、起きる時間と寝る時間が遅くなる「昼夜逆転」に悩まされることが多いです。
「学校に登校したくても朝起きられない」というような状況に陥る恐れもあります。子どもが昼夜逆転にならないように、生活リズムをつけることを心がけましょう。
不登校の子どもへ親ができる対応方法の3つ目は、学校と連携すること。学校の関係者は、児童や生徒の身近にいるため、相談しやすいのが特徴です。実際に登校する際にも、サポートが受けられるため、はじめは学校の関係者に相談してみましょう。
相談先としては、以下などがあります。
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不登校のことを相談しやすく、身近な立場である「担任の先生」への相談は必須。普段のクラスの状況や子どもの様子、学業や性格などをすでに知っているため、スムーズに話し合いができます。
また登校しやすいように、実際に学校でサポートしてもらえるので、はじめは担任の先生に相談してみるといいでしょう。
不登校の児童や生徒は、保健室に登校する場合もあるため、養護教諭への相談もおすすめ。まずは保健室登校を始めるためにも、一度養護教諭に相談して、サポート体制を作ってもらうことから始めましょう。
保健室登校と同様に、スクールカウンセラーがいる相談室に登校する児童や生徒も多いです。スクールカウンセラーは、心理についての専門知識を持っており、児童や生徒の抱える問題について助言や指導を行ってくれる、学校専門のカウンセラーのこと。
担任の先生や養護教諭ではできない、心のケアを行ってくれるのがメリットです。養護教諭と同様に、スクールカウンセラーにも相談して、登校時のサポート体制を作ってもらうことをおすすめします。
不登校の子どもへ親ができる対応方法の4つ目は、学校関連の相談窓口に相談すること。学校内の関係者以外にも相談が必要な場合は、「特別支援教育コーディネーター」や「教育支援センター(適応指導教室)」などの学校関連の相談窓口がおすすめです。
特別支援教育コーディネーターは、発達障害や何らかの疾患を抱えて、通常のクラスで授業を受けるのが困難な児童を支援するスタッフを指します。
特別支援コーディネーターが設置されている学校もあるので、子どもの不登校に障害や病気が隠れていそうな場合は、相談してみるのがおすすめです。
教育支援センター(適応指導教室)は、地域の教育センターに設置されているもので、主に不登校の子どもに対して学校への復帰や社会的な自立の手助けを行う施設。同じような不登校の子どもたちと少人数で学習できるのがポイントです。
保護者からの相談も受け付ける施設も多くあります。また、教育員会の管轄する施設であるため、適応指導教室に通った場合、在籍する学校が出席扱いになることもあるのが特徴です。
不登校の子どもへ親ができる対応方法の5つ目は、専門機関と連携すること。子どもに関する専門機関は、子どもの支援に対する専門的なスタッフに相談できるのが特徴。予約が必要な場合もあるので、相談前にWebサイトで確認しましょう。
児童相談所は、都道府県が設置している専門機関。不登校に限らず、子どもに関する相談を受け付けています。カウンセラーや児童福祉士などの専門家がいるのが特徴です。
青少年センターも同様に、都道府県が設置している専門機関。子どもに限らず、若者までの支援を行っています。電話で相談できる施設もあるのが特徴です。
児童家庭支援センターは、市区町村が設置している専門機関。18歳未満の子どもに関するさまざまな相談に対応しています。必要に応じて児童福祉施設の紹介が受けられるのが特徴です。
不登校の子どもへ親ができる対応方法の6つ目は、フリースクールを利用してみること。フリースクールは、不登校のこどもを支援する施設で、学習支援からカウンセリング、学校のような体験学習など施設ごとにさまざまな取り組みを行っている民間団体です。
主に学校に行かないと決めた子どもが集まり、学校以外の居場所となります。在籍校と連携することで、フリースクールに通うと在籍校の出席認定が取れる場合があるのが特徴。一方で、費用がかかることがデメリットです。
不登校の子どもへ親ができる対応方法の7つ目は、カウンセリングを利用してみること。心理カウンセラーという資格を持つ「心の専門家」が不安に思うことを聞いてくれます。
不登校に強いカウンセリング施設もあるので、自宅から通えそうなカウンセリング施設を調べてみてください。最初は親御さんがカウンセリングを受け、2回目以降に子どものカウンセリングを受ける場合が多いです。
学校や専門機関に不登校について相談する際は、以下のポイントを意識することでスムーズに相談できます。ここから、不登校について相談するポイントを解説するので、相談の際の参考にしてみてください。
「いつ不登校になったか」「不登校になる前の様子」「現在の子どもの様子」など、詳しい情報をメモしておきましょう。事前に、相談内容や子どもの様子についてまとめておくことで、相談がスムーズに進みます。
公的機関の中には、予約が必要な窓口も多くあります。事前に、利用条件や予約ができるかどうかについて、WEBサイトや電話で確認しましょう。
専門機関やカウンセリングなどを選ぶ際は、自宅から通いやすい施設を選びましょう。定期的に通うことを考え、遠すぎない施設を選ぶことがおすすめです。
不登校について相談する上で、相手との相性も大事。相談先との相性が合わないと感じたら、次を探すことがおすすめです。お子さんも相談しやすいカウンセラーや相談者を見つけましょう。
不登校の詳しい定義や不登校となる理由、日本の不登校の現状などを解説しました。不登校によって、学業の遅れや将来への不安が生じ、精神的な面にさまざまな影響を与えることもあります。本人が不登校となっている理由を理解し、正しい対応方法を心がけて学校復帰を目指しましょう。