子どもが不登校になった際、甘えなのかどうか疑問を持たれる方もいることでしょう。本記事では、不登校の状況が甘えかどうかについて触れていきます。さらに学校に通えなくなった時の対処法も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
子どもが不登校の状況に対して「甘えである」「甘えではない」と意見が分かれます。しかし、本当に行きたくないのに無理やり学校に連れて行くのはおすすめできません。
不登校の理由には、いじめや人間関係のトラブル、授業の難しさなどもあれば、複数の要因が絡んだ複雑な事情などもあるからです。
このようなことから、不登校は必ずしも甘えとは限りません。
では、一体なぜ不登校が甘えと捉えやすいのか気になるところでしょう。その要因は、2つ考えられます。
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それぞれについて見ていきましょう。
不登校が甘えだと捉えられる理由は、ネガティブなイメージを持っているためです。事情を知らずに学校に行かないことを想像すると、「甘えている」「怠けている」「嫌なことから逃げている」と考えることは無理もありません。
しかし不登校の子どもの中には、人間関係の悪さやいじめ、学校環境の不慣れさなど、さまざまな事情を抱えています。中には「どうにか学校に行かなければ!」と焦っている子どももいるので、決めつけるのではなく事情を知ることが大切です。
不登校と聞くと、どうしても部屋に引きこもっているイメージを抱きやすいです。
しかし不登校だからといって、必ずしも部屋に引きこもっているとは限りません。不登校の子どもの中でも勉強やお手伝い、趣味、ボランティアなどアクティブに活動している子どももいるようです。不登校と引きこもりでは概念が異なるので、考え方を分けることが必要です。
それぞれの定義を下記にまとめたので、今一度整理しましょう。
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※1:“文部科学省 公式HP(不登校の現状に関する認識)”参照
※2:“厚生労働省 公式HP(ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン)”参照
不登校には、いくつかタイプがあります。その中でも不登校が甘えと捉えやすいのが、甘え型不登校です。こちらは神経性登校拒否の一種とされていますが、不登校との結びつきに関する研究が十分とは言えません。
文部科学省の調査結果(※)によると、不登校の要因に主として多いものは以下の5つ。ここからは不登校の要因についてそれぞれ解説します。
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※ ”児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(令和4年度)”参照
不登校の要因としては、無気力や不安などが原因の可能性があります。このようなタイプは「何となく学校に行きたくない」「学校で不安なことがある」というような理由が目立ちやすいです。理由を聞いたとしても、本人でも分かっていないことがあります。
クラスメイトからいじめを受けていたり、友達とトラブルを起こしてしまったりすると学校に行くのが億劫に感じやすくなります。
たとえ些細な事であっても、それをきっかけに不登校になるケースは珍しくありません。
生活リズムの乱れから、不登校になるケースは少なくありません。例えば夜遅くまでゲームに没頭しすぎた結果、朝起きれなくなると学校に通うのが難しくなってしまいます。生活リズムの乱れは、成長期の子どもの体への負担もあるので、日中に活動する動機や目的を見つけるなどして生活リズムを整えてゆくことが大切です。
家庭環境の変化は、不登校になる原因になりやすいので注意が必要です。例えば両親が離婚したり、兄弟が生まれたり、引っ越しをしたりと、家庭環境が大きく変わると子どももストレスを感じやすくなります。
このようなケースの場合は、なぜ不登校になったのか子ども自身も気づきにくいかもしれません。
不登校になる原因は、ほかにもたくさんあります。1つのことが原因な事もあれば、複数の要因が絡んでいることも少なくありません。
さらに学年が上がるにつれて、不登校になる原因は変わります。例えば授業が難しくなり勉強が追い付いていけなくなったり、小学校から中学校に上がった際に学校生活にギャップを感じてしまったりするなど、普通に通えていた子でも、環境の変化をきっかけに不登校になるかもしれません。
万が一、子どもが不登校になった場合は甘えられる親子関係の構築が大切です。学校で何かあった場合は、拠りどころになれるのは親になります。もし親子関係が険悪な状態になってしまうと、子どもはどのように問題を解決すればよいのか分からず困惑や焦りなど精神的に追い詰められやすくなるでしょう。
しかし、不登校になった場合は、どのように対応するべきなのか悩んでいる親もいるかもしれません。ここからは、親ができる不登校の子どもへの対処法を紹介します。
不登校になった際、本人も負い目に感じています。例えば「ほかの子どもと比べて授業に遅れてしまった」「みんなは学校に行けているのに自分だけ行けていない」など、親以上に焦りやプレッシャーなどを実感しているかもしれません。
だからこそ、子どもの不登校に対して親が受け入れることが大切です。否定的な態度で接してしまうと、子どもは精神的に追い詰められ学校に行きたくなくなってしまいます。
子どもが不登校になった場合は、本人の不安を和らげるために現状を受け入れましょう。
親の中には、焦った気持ちから子どもを無理やり学校に連れて行こうとする方がいるかもしれません。しかし強制的に学校に連れて行こうとすると恐怖感や孤独感、プレッシャーなど本人を精神的に追い詰めてしまうことにつながりやすくなります。
学校に通わせたい気持ちは分かりますが、まずは温かく見守るところから始めましょう。
もし子どもが「また登校したい」という前向きな気持ちになった際は、本人の納得のもと段階的に学校に慣れさせてみるのがおすすめです。いきなり学校に行かせようとすると、本人にとってはハードルが高く恐怖や不安などさまざまなネガティブな感情を抱きやすくなります。
例えば小学生の不登校の場合、最初はランドセルを背負うことから始め、玄関、通学路、学校の門というように段階を上げていきます。
大切なのは、徐々に成功体験を積み重ねていくことです。成功体験を積み重ねることによって自信を取り戻すようになり、やがては学校に通えるようになることもあります。
勉強や手伝い、習い事など本人が何かに取り組んでいれば、素直に褒めましょう。褒めることで子どもは認められたと感じ、前向きな気持ちになってくれるでしょう。場合によっては、学校に行くきっかけになるかもしれません。
勉強はもちろんのこと、ゲームや読書、プログラミング、工作物の作成など、本人が真剣に取り組んでいることがあれば、肯定し褒めましょう。
不登校をしてしばらく経過した後、子どもの気持ちが落ち着いてきたら話を聞きましょう。
学校に行かなくなった理由を聞く親もいると思いますが、子どもによってはうまく言語化できないこともあります。
無理に理由を求めようとはせず、子どものペースに合わせて理由を聞きましょう。
子どもによっては「もう学校に行きたくない」と感じているかもしれません。その際は、学校以外の選択肢を増やしましょう。
ほかの学校への転校はもちろんのこと、地域のふれあい館やフリースクール、児童館、学習塾など学校以外に教育や人との交流が深められる施設はたくさんあります。
選択肢を増やすことによって、子どもにとって居心地のよい環境が見つけ出しやすくなるので、一緒に考えてみてください。
もし不登校のことで何か困ったことがあれば、心療内科やメンタルクリニック、児童相談センター、不登校の相談窓口などの専門機関に相談しましょう。支援機関に相談することによって、不登校に関する適切なアドバイスがもらえるかもしれません。
子どもが不登校に陥った際は、甘えと捉えずしっかり見守ることが大切です。しかし過度な甘やかし過ぎは親に依存してしまう状態になりやすくなるので、自立を妨げぬように注意しなければなりません。もし不登校の対処法について分からないことがあれば、専門家の支援も受けてみてください。