高等専門学校、専門学校、高等専修学校の違いを、制度や課程を交えて解説します。高校ではなく高等専門学校や高等専修学校を選択するメリットやデメリットに加え、学べる分野や就職率についても紹介。中学校卒業後の進路に迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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中学校卒業後の進路には、高校のほか、高等専門学校や高等専修学校などがあります。ここでは、混同されがちな高等専門学校、専門学校、高等専修学校の違いを解説。中学校卒業後の進路を考える際の参考にしてみてください。
入学資格 | 学校教育の分類 | 卒業までの年数 | 学校数 | 卒業後に得られる称号や資格 | |
高等専門学校 | 中学卒業者 | 高等教育 | 5〜7年 | 58校(※1) | 准学土 |
専門学校 | 高校卒業者 | 高等教育 | 1〜4年 (2年制が主) | 約2,800校(※2) | 2年制以上:専門士 4年制以上:高度専門士 |
高等専修学校 | 中学卒業者 | 中等教育 | 1〜3年 | 396校(※3) | 高校卒業と同等資格 ※3年以上の場合 |
※1:2023年度時点の情報(“文部科学省 公式HP 高等専門学校(高専)についてページ”参照)
※2:2020年度時点の情報(“文部科学省 公式HP 専門学校のことが知りたいページ”参照)
※3:2022年度時点の情報(“文部科学省 公式HP 学校基本調査-令和4年度 結果の概要-ページ 令和4年度学校基本調査の公表について内”参照)
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高等専門学校は、中学校卒業後に入学できる学校で、一般的な高校のカリキュラムに加え、工業や商船などの専門教育を受けられます。
卒業までの年数は5年または7年と長く、卒業時には準学士の称号が授与されるのが特徴です。また、学校数は全国58校(※)と少ない傾向にあります。
※2023年度時点の情報(“文部科学省 公式HP 高等専門学校(高専)についてページ”参照)
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専門学校は、高校卒業者を対象とした学校です。保育や美容、医療、福祉など多様な分野の専門教育を受けられます。
卒業までの年数は1〜4年で、多くの場合は2年で卒業可能。卒業後には専門士や高度専門士といった称号を取得できるケースもあります。
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高等専修学校は、中学校卒業後に入学できる学校で、工業や医療、衛生、農業など実践的な職業教育を中心としたカリキュラムが特徴です。
修業年限は1〜3年で、高校卒業資格を得るためには技能連携制度を活用するか、別途高等学校卒業程度認定試験を受ける必要があります。
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中学卒業後の進路として選択できる高等専門学校や高等専修学校は、一般的な高校とは異なるため、メリットやデメリットが気になる方も多いでしょう。ここでは、高等専門学校と高等専修学校に通うメリットとデメリットを詳しく解説します。
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高等専門学校や高等専修学校では、入学後すぐに直接専門分野の学習を始められます。そのため、早い段階で実践的な知識や技術を身につけることが可能です。
また、専門分野を学ぶことで将来のビジョンが見えてくるのもうれしいポイント。卒業後の進路が早い段階で考えられる点がメリットです。
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高等専門学校や高等専修学校を卒業後、大学へ進学できます。大学に進学することで、高等専門学校や高等専修学校で学んだことをより深く学ぶことが可能です。
ただし、高等専修学校を卒業しても高校卒業資格は与えられないので技能連携制度を活用するなどの対策を行いましょう。高等専修学校の1年制や2年制の課程では、大学受験資格を得ることができないため注意してください。
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5年間で専門教育を学ぶ高等専門学校は、通常の高校と比べて授業のスピードが早いという特徴があります。学習内容が高度になるので、授業のスピードについていけないことがあるかもしれません。
また、高等専修学校も実践的なカリキュラムが中心のため、高い学習意欲が求められます。卒業後の進路を見据えて、目的意識を持って学ぶことが大切です。
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高等専門学校や高等専修学校では、専門的な分野を学ぶため、学費が比較的高めになる傾向があります。特に私立校では授業料や設備費がかさむため、事前に費用を確認しておきましょう。
しかし、卒業後にそのまま就職する場合、大学進学と比べてトータルの学費負担が抑えられる可能性もあります。奨学金や支援制度を活用できる場合もあるため、将来の進路を考慮したうえで、慎重に検討することが重要です。
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高等専門学校や高等専修学校を選ぶ際に気になるのが、学べる分野や就職率でしょう。ここでは、高等専門学校や高等専修学校で学べる分野や就職率を解説します。
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高等専修学校では、以下の8つの分野から学びたいことを選択できます。
・工業 ・商業実務 ・農業 ・医療関係 ・教育・社会福祉 ・服飾・家政 ・文化・教養 ・衛生関係 |
一方、高等専門学校では、大きく分けて以下の2分野の専門教育を受けられます。
・工業分野(機械工学、電子工学、情報工学など) ・商船分野(航海学、海洋工学など) |
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2024年度の国立高専卒業生の約6割は就職、約4割(※)は進学を選択。就職希望者の就職率は高く、ほぼ100%に近い数値です(※)。
この就職率の高さの理由として、高等専門学校での専門的な教育が挙げられます。実践的なカリキュラムを通じて即戦力となるスキルを身につけられるため、多くの卒業生が希望する分野で活躍しているのです。
※“国立高等専門学校機構 公式HP”参照
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高等専門学校と専門学校と高等専修学校の違いを制度や課程を交えて解説しました。高等専門学校、専門学校、高等専修学校では、それぞれ専門的な分野が学べるものの、入学時の条件やカリキュラムに違いがあります。ぜひ本記事を参考に、自分に合う進学先を選んでみてください。